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» 2016年02月02日 06時00分 UPDATE

約1万人の人員削減の一方で:優良子会社まで売却した東芝 「サザエさん」と「ラグビー部」だけは死守 (1/2)

会計不祥事で抜本改革を迫られている東芝が、何をやめ、何を残すかの選別を迫られている。

[産経新聞]
産経新聞

 会計不祥事で抜本改革を迫られている東芝が、何をやめ、何を残すかの選別を迫られている。虎の子といえる優良子会社、東芝メディカルシステムズは売却する方針を決めた。冷蔵庫や洗濯機などの「白物家電」も他社との事業統合などで実質的に売却する一方で、主力の記憶用半導体には年2000億円の巨額投資を継続する。TVアニメ「サザエさん」の協賛やラグビー部などは存続させる考えだ。グループで20万人の従業員を抱える巨大企業だけに、その“取捨選択”は、多方面に影響を与えそうだ。

伝統ある家電事業の縮小余儀なく

 平成27年12月に大規模なリストラを発表した東芝。人員削減などはすでに報道されていたが、会見の出席者にとって意外だったのは、医療子会社東芝メディカルの売却方針だった。あるアナリストは質疑で、「メディカルの売却は残念です。エレベーターや空調など(の売却)は俎上に上がらなかったのか」と質問したほどだ。室町正志社長は「いろんな検討をした結果、メディカルが対象となった」と答えるのが精いっぱいだった。

 それもそのはず、同日公表された業績見通し(平成28年3月期)では、主要5部門で唯一、営業損益が黒字だったのがヘルスケア。東芝メディカルはその中核子会社だ。ヘルスケアは不正会計問題で辞任した田中久雄前社長の肝いりで記憶用半導体、原発などのインフラに次ぐ「第3の柱」として期待されてきたが、東芝は発行済み株式の8割程度を売却する方向で準備を進めている。

 昭和5年に国産初の電気洗濯機と電気冷蔵庫を世に出した東芝の家電事業だが、今回の構造改革で転換点を迎える。白物家電事業を連結対象から外し、実質的に売却する。官民ファンドの産業革新機構が出資を通して、シャープの同事業と統合させる方向で検討している。

 一連の構造改革では、白色LED(発光ダイオード)の生産から撤退。スマートフォンのカメラなどに搭載され、画像処理を行う熊本県の生産ラインをソニーに売却することも決めた。

 これまで利益水増しにより収益力の低下が隠されていたことで、抜本的な構造改革に踏み切らなかった東芝。今回の約1万人の人員削減では、割増し退職金による早期退職も活用されるため、リストラ費用が膨らみ、28年3月期は5500億円の最終赤字を見込む。自己資本比率が10%以下の“危険水域”に沈んだ。

 仮に原発事業の収益性が悪化し、過去の巨額買収による「のれん代」の減損処理に見舞われた場合、最悪、債務超過に陥る懸念がある。さらに、会計不祥事の影響で公募増資など、資本市場からの資金調達は難しい状況。室町社長が「重い決断」と振り返ったように、成長性のある優良子会社の売却や、伝統ある家電事業の縮小を余儀なくされた。

ks_toshiba01.jpg リーチ・マイケル氏(左から3人目)らラグビー部の選手による表敬を受け、記念写真に収まる室町正志社長(同4人目)=平成27年10月、東京都港区の東芝本社
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