訃報を聞いて何、思う(2/2 ページ)

» 2016年02月03日 06時00分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!
前のページへ 1|2       

絶対に失敗しない法

 ビジネスの第一線で活躍する人にとって、危機管理という感覚は欠かすことができません。失敗する「率」が一定であるとすれば、仕事をすればするほど、失敗の「数」は増えるはず。バリバリやればやるほど、そこには失敗と常に隣り合わせとなる環境でもあります。

 失敗を絶対にしない方法は簡単です。何もしなければ良いのです。一切のチャレンジ、新たな職務、事業、製品、サービスへの挑戦をせず、決まりきったルーチンだけで済むのであれば、年齢、経験とともに失敗をしない能力は高まります。しかし第一線にいるということは、逆に新たな挑戦や前人未到の分野への参入抜きにはありえないはずです。

 自らは絶対に挑戦などせず、他人の失敗を揶揄(やゆ)するだけで済むような人は、確かに失敗しない人生かも知れません。しかし、少なくともこれから先、もはやそんな人間に任せる仕事があるでしょうか? 単なる年功にあぐらをかいて、働かないオジサンでもこれまでは済んだかも知れません。でも、これからはそんな人がいられる場所はあるでしょうか? 人生はまだあと数十年はありそうです。

著名人の訃報をどう感じるか

 40〜50代と、老齢とはいえない年齢で亡くなる著名人の訃報を見て「若いのにお気の毒に」と思うようなら、人としてまっとうだと思います。気の毒以外に、例えばわずかでもそこに開放感などを感じることはないでしょうか。常に緊張感の下に置かれ、組織の板ばさみの立場で、自分だけのこと以外に家族のことを考える――そんな人生の重荷からの逃亡を夢想することは、別に異常でも何でもありません。それを具体的行動に移そうと思ったら、要注意ですが。

 中年の危機とは、ユングが定義したように人間誰しもが経過するものであって、病気や疾患ではありません。そうした変化が来るものだと自覚し、その変化に踊らされるのではなく、受け止め自覚した上で対処する方が現実的対処といえます。

 事業における危険が発生した場合にも対処できるよう、リスクマネジメントは常日頃備えがあるかも知れません。保険加入もその1つ。

 さらにご自身の人生における危機対応(クライシス・マネジメント)はできていますか? クライシスマネジメントでは、危機は「来るもの」として準備する、もう一段高い緊急性があります。

 人は誰しも年齢を重ねます。その際に考えれば済むこともあるでしょう。ただし、中年期に「危機(クライシス)」が来ることは、かなりの確率で想定しておくべきことといえます。特にビジネスの世界にいる人にとって、現在の大きな環境変化の波は、まずは人事制度の大変革となり現実に襲い掛かってきます。(増沢隆太)

 →フォローして増沢隆太氏の新着記事を受け取る

前のページへ 1|2       

Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.