観光列車か否か、境界線上の列車もあるだろう。南海電鉄の特急ラピート「スター・ウォーズ / フォースの覚醒」号 は、本来は空港連絡特急だ。しかし、内外装に凝っていて、この列車そのものを観光目的とする映画ファンがいるはずだ。つまり、空港連絡特急だけど、空港には行かない人々は観光目的であり、観光列車と考えても良さそうだ。
もちろんこれは私見だから、もっとさまざまな議論や解釈があって良い。観光列車というビジネスを知る「たたき台」になればよい。ただし、「風景や車内での特別な食事、特別なショッピングなど、一般的な観光需要を満たし、定められた区間を専用車両で運行する列車」という定義だけをもって観光列車を理解したつもりになってはいけない。
例えば、ななつ星 in 九州、トランスイート四季島、トワイライトエクスプレス瑞風は同じ顧客層を対象としていると思われる。しかし、伊予灘ものがたり、「しまんトロッコ」「指宿のたまて箱」は異なる顧客層である。観光列車はそれぞれ異なる市場を相手にしており、営業戦略も違う。その分類については次回以降に論じるとしよう。
2017年の大型観光列車案件1 「トワイライトエクスプレス瑞風」(公式サイト )
2017年の大型観光列車案件2 「トランスイート四季島」(公式サイト )
1つヒントを提供すると、「不動産付加価値ビジネスと似ている」のだ。観光列車の隆盛によって、鉄道業界は運輸業の枠を超え、レジャー産業に片足を突っ込んだ。そこでは今までの鉄道業界のやり方では通用しない。このヒントから観光列車の市場を読み解いてほしい。
大井川鐵道に『きかんしゃトーマス』がやってきた本当の理由
ファンの「いつかは日本で」の願いが叶った。2014年7月2日、大井川鐵道が『きかんしゃトーマス』の試乗会を開催。実際の鉄道でトーマスが運行したのは、英国、米国、オーストラリアに続いて4番目。アジアでは初めて実現した。なぜトーマスが日本で走り始めたか。表と裏の理由を明かそう。
決戦兵器「エヴァンゲリオン」は山陽新幹線を救えるか
11月7日、山陽新幹線に独特な仕様の電車が現れた。かつて東京駅にも発着していた500系電車が、アニメ作品「新世紀エヴァンゲリオン」の主要メカをモチーフに塗装された。このコラボレーションは山陽新幹線にとって大きな意味がある。
ガンダム、ジェット機、スターウォーズ……南海電鉄「ラピート」の革命
南海電鉄は11月21日から、特急ラピート「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」号を運行している。元になった車両は関空特急ラピート専用車「50000系」だ。鉄道車両としては異形のデザインに驚かれたかたも多いだろう。この電車は、20年前に登場し、鉄道車両のデザインに転機をもたらした革命児だ。
全国に大量発生の観光列車、ほとんどが「一代限り」か
鉄道は巨大な装置産業だ。線路にも駅にも車両にもお金がかかる。だから設備投資は計画的に、慎重に取り組まなくてはいけない。それでもやむを得ず設備が余る。実は、各地で誕生する観光列車は、余剰設備を活用するアイデアだ。それだけに寿命は短いかもしれない。
蒸気機関車は必要なのか――岐路に立つSL観光
かつて蒸気機関車といえば、静岡県の大井川鐵道やJR西日本の山口線にしかなかった。それだけに希少価値があり、全国から集客できたが、現在は7つの鉄道会社が運行する。希少価値が薄れたいま、SL列車には新たな魅力が必要だ。
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