「ガソリンが下落すれば、回転ずし屋の客が増える」は本当かスピン経済の歩き方(3/5 ページ)

» 2016年02月09日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

データを調べてみると、疑問点も

 例えば、先ほど紹介したように、くら寿司の客数が乱高下しているかのように見えるのは、実は休日数が関係している。2014年3月の土日祝日数は11日あったが、2015年3月は9日しかない。書き入れ時が2日減れば、客数がガクンと落ち込むのも当然だろう。

 無論、休日だけではない。天候や寒さなども関係ある。

 ヒット商品やキャンペーンの影響もあるだろう。くら寿司では昨年7月に「すし屋のシャリカレー」を発売。これはわずか1カ月で50万食突破という大ヒットとなり、9月には第2弾、100万食を超えた11月にはトッピング4種もリリース。くら寿司の新客獲得に大きく貢献している。この「すし屋のシャリカレー」も6月からの前年同月比客数の右肩上がりに無関係とは言えないだろう。

「すし屋のシャリカレー」が大ヒットした(出典:くら寿司)

  ファミリーといえば、やはり「子ども」が主役。くら寿司は、食べ終わった皿を5枚入れるとオモチャの入ったガチャ玉が出るシステムが好評だが、昨年春からは「ドラゴンボール」「ダイヤのA」「妖怪ウォッチ」などの人気アニメとのコラボが続いている。つまり、「くら寿司でしか手に入らない限定グッズ」を欲しいと子どもにせがまれ、来店するファミリー客が確実に増えているのだ。

 「ガソリンが下落すれば、回転ずし屋の客が増える」という部分があるのは確かではあるのだが、それはさまざまな要素がある中のひとつに過ぎず、回転ずし屋の「成長要素」を考えるうえではむしろ本筋ではないのだ。

 細かく分析をしていくとそこまで因果関係のない2つの事象を結びつけ、「風が吹けば桶屋が儲かる」的な納得感のあるロジックをつくっていく。実はこれは日本の経済報道のクセというか、ある種のお約束みたいなスタイルなのだ。

 その最たる例が、「日本が世界第二位の経済大国になったのは、技術が優れていたから」という、ストーリーだ。

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