スターバックスに異変? 「居心地のよさ」追求のジレンマすごい差別化戦略(3/4 ページ)

» 2016年02月27日 06時00分 公開
[大崎孝徳ITmedia]

心地よい空間と時間の提供vs回転率の向上

 また、「勉強していたら、店を出ていくように言われました」という学生の言葉には大変驚かされました。低価格を強く訴求するハンバーガーショップなどのファストフード店ではよく聞く話ですが、スタバでもそのような「長居する客の追い出し」が行われているというのは、にわかに信じ難いことです。

 というのは、スタバが重要視する理念の1つに「サードプレース(第3の場所)」というものがあります。ファーストプレースは自宅、セカンドプレースは職場を意味し、それらとは異なるサードプレースで心地よい空間と時間を提供することがスタバのコンセプトであり、そこが他のカフェとの差別化ポイントの1つとなっています。

 こうした考えと真っ向から対立する「長居する客の追い出し」が、回転率の向上のために実施されているわけです。

 今や世界を代表するカフェといえるスタバですが、日本国内ではスタバを上回る店舗数を誇るドトールと単純にコーヒーの値段を比較すると、スタバはドトールのおよそ1.5倍です。この価格の「差」を消費者が許容するのは、コーヒー自体の味の違いよりも、上質な机や椅子、ゆとりあるスペースといった「店舗の雰囲気のよさ」により、いわゆる「経験的価値」を得ているからでしょう。

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