うどんチェーン、カフェ事業への多角化戦略の盲点すごい差別化戦略(2/5 ページ)

» 2016年02月29日 06時00分 公開
[大崎孝徳日本実業出版社]

事前チェックでは100点満点

 たまたま出張で高松に行くことになり、そのうどんチェーンに客として足しげく通っている筆者としては親近感もあるため、カフェ1号店を訪れることにしました。もともとカフェ好きでもあり、喜び勇んでの訪問となりました。

 訪問前、インターネットで当該カフェの写真やメニューなどをチェックし、期待に胸が膨らみました。事前に収集した情報は以下の通りです。

  • 店内焙煎のコーヒー

 コーヒーマシンとハンドドリップの2タイプが用意され、スタバのコーヒーは苦すぎると感じる筆者にとって、ハンドドリップは救いの女神のようにも感じられました。しかも、コーヒー豆は店内焙煎、注文ごとにひくというこだわりようです。この店内焙煎は、同チェーンの本業(うどん)における店内製麺を連想させます。

  • 湯種製法の焼きたてパン

 パンも店内で焼かれており、しかも「湯種(ゆだね)製法」を採用しています。湯種製法とは、小麦粉を熱湯でこねて小麦粉中のでんぷんを糊化(こか)させる製法です。

 大手のパンメーカーは工場で大量生産するため、人気ベーカリーのようにおいしいパンのつくり方は分かっていても、それを実現できない状況でした。しかしながら、多くの問題点を克服し、湯種製法の導入により大ヒットしているパンが、敷島製パン(ブランド名はPasco)の『超熟』です。

 こうした製法のパンが工場ではなく店内でつくって提供されるとなると、さぞやおいしいことであろうと胸が高鳴りました。

  • 充実したフードメニュー

 スタバなどのシアトル系カフェでは提供されることのない、オムライスといったご飯モノ、ナポリタンスパゲティなど、筆者好みのおいしそうなメニューが並び、期待感がさらに膨らみました。

  • 落ち着いた雰囲気の店舗

 インターネット上の写真で見る限り、店内は余裕たっぷりの落ち着いたスペースのようです。

 このような情報を手に、いざ店舗へ向かいました。非常に雰囲気のよい立地で、広い駐車スペースもあります。入店したのは平日夜で、客の入りは7割程度。ネットでの情報通り、ウッディでゆったりした雰囲気です。

 店内のカウンターの前に立ち、メニューを確認しようと思うものの、メニューが見つかりません。すると店員が近寄って来て席に案内してくれました。筆者はすっかりセルフサービスと勘違いしていたのです。店員から手渡されたメニューを眺めると、どれもおいしそうですが、アイスコーヒーとカツサンドを注文しました。

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