取材を断ったら「嘘つき」と怒られないために、広報担当者がすべきことスピン経済の歩き方(2/5 ページ)

» 2016年03月01日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「消耗戦型広報対応」という方法

 そういう取材方法が当たり前になってしまっている人間としては正直、この問題の本質がよく分からない。

 ただ、このようなトラブルが、取材者と企業広報の間でわりと頻繁に発生する「あるあるネタ」だということだけは分かっているつもりだ。取材拒否されたという話を友人のフリー記者たちからよく耳にする。一方、企業広報からも、「なんか怒らせちゃったみたいですが、どうしたらいいですか?」という相談を受けることも多い。

 これまでの経験から言わせていただくと、このような「衝突」を回避するには、「消耗戦型広報対応」が有効だと思っている。

 取材申し込みに対して、「社長の意向なんで無理っス、以上」というような感じで一方的にやりとりを断ち切るのではなく、丁寧に時間をかけて「私もがんばってみたんですけど、どうやっても無理なんですよ」ということを記者に説明していくのだ。

 例えば、どこの馬の骨か分からないフリーライターから社長インタビューの申し込みがあったとしよう。社長に報告しても当然、「断れ」。理由はどうしましょう? と尋ねても「それを考えるのが広報の仕事だろ」とピシャリ。そこで多くの広報マンは嫌な仕事を早く終わらせたいので、「社長本人の意向です」などの強引な「言い訳」をひねりだして即答する。しかし、「消耗戦型広報対応」ではそこは焦らず、まずは時間稼ぎの意味も含めて、「今月、来月と社長のスケジュールの都合がつきませんので、ご希望に沿うことができません」と軽いジャブを打つのだ。

 「じゃあ2カ月後の予定を」というジャーナリストもいるかもしれないが、「すいません、スケジュールが流動的なのでそこまで先だと確約しかねます。申し訳ありません」「社長のスケジュールは過密状態で、みなさんにご迷惑をおかけしています」と平身低頭で説明をする。

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