ハリケーンの被害から10年、ニューオリンズはどのようにして「再生」したのか新連載・事例に学ぶ、地方創生最前線(3/4 ページ)

» 2016年03月02日 08時00分 公開
[石川孔明ITmedia]

高級食料品チェーンの新型店舗や職業訓練キッチンを誘致

 そこでジェフリーは、閉店したままになっていた旧食料品店をリノベーションし、全米屈指の高級スーパーである「ホールフーズ・マーケット」のエコノミー版店舗を誘致する計画を立てた。市街の一等地に店舗を構えて高価格帯のオーガニック・フードや生鮮食品を提供し、「ホール・ペイチェック(給料全部もっていかれる)」と揶揄(やゆ)されることもある同チェーンは、富裕層マーケットの飽和による伸び悩みに直面していた。次なるマーケットであるエコノミー価格帯への進出と、新鮮な食品を手の届く価格で提供したいジェフリーの思惑が重なった。「ずいぶん緊張して営業に行ったのですが、快諾してもらえました」とジェフリー。

リノベーション後の物件。ホールフーズ・マーケットに並んでリバティ・キッチンが軽食やコーヒーを提供している(筆者撮影)

 彼は生鮮食品を販売するだけでなく、食に対する教育が必要だと考え、地域の若年層の職業訓練を実施する「リバティ・キッチン」や、医食同源の理念のもと、調理と健康について教える調理学校も誘致した。この時点でもまだ職員は彼のみであったが、独力で20億円以上の資金を集めて土地と建物を購入し、リノベーションを実施。2014年2月にホールフーズ・マーケットを中心としたコミュニティ・センターがオープンした。

コミュニティ・センターは、地域の社会的企業が入居するシェアオフィスにもなっている(筆者撮影)

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