トランプという“大統領候補”をつくりあげたのは、誰か世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)

» 2016年03月10日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

メディアに広がる動揺

 次に重要になるのは、3月15日に行われる大票田のフロリダ州とオハイオ州などの予備選。これらの州では首位の候補者がすべての代議員を獲得する「勝者総取り」になることもあって、その結果で候補者争いはほとんど道筋が見えるだろうとの見方もある。

 そして今の状況から分かるのは、その投票までが今回の大統領選では大きな山場であり、重要な勝負となりそうだ。そしてその事実を前にして今、メディアと共和党には大変な混乱が見える。

 というのも、スーパーチューズデーの結果によって、トランプをめぐる周囲の空気がうねり始めているからだ。

 まずはメディアだ。実はほとんどのメディアは、これまでトランプが指名候補になることはないとバカにしてきた感があった。だがさすがにここまでトランプが躍進していることで、CNNなど米メディアも専門家を集めてトランプの躍進を正面から議論したり、大手紙も論説で共和党にトランプの勢いを止めるよう促すなど、メディアに広がる動揺も感じられる。

 そもそも、トランプという“大統領候補”を作り上げたのには、メディアにも責任がある。トランプ自身もこう語っている。「あのさ、テレビでは、FOXニュースやCNNで、トランプの名前を連呼している。信じられるか? トランプだらけさ。ちなみに、そうすれば視聴率がいいんだよ。もし視聴率が悪かったら、私を取り上げない。正直言うけどね。テレビとエンターテインメントにおけるシンプルな法則なんだよ。視聴率が良ければ、そう、視聴率さえ良ければ……何も特別に話題がなくても、常に取り上げられるのさ。恐ろしい大変な病気の治療法を見つけても、視聴率が取れなければ、報じることもしなくなる。そういう単純なものさ。非常に単純だ」

 この言葉が全てを物語っていると言える。彼はテレビタレントとして、10年以上人気を誇ったリアリティ番組に主演していたことから、メディアの扱いには慣れているのである。どうすれば自分が、テレビ番組で実現したように、人気タレントになれるのかも、だ。そしてメディアはトランプのバカげた発言をいちいち取り上げてきた。

(出典:Donaldjtrump.com)

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