先進企業のオフィスはここまで違う コミュニケーションが変わるオフィス空間とは?(2/2 ページ)

» 2016年03月10日 08時00分 公開
[ITmedia]
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創造性を生み出す“間違った空間”作りとは

 特別講演では、建築家としてオフィスデザインの仕事を手掛けるチームラボアーキテクツ代表の河田将吾氏が登壇。同社が取り組む、創造性を高めるオフィス空間作りについて紹介した。

 チームラボは、デジタルを中心としたアート作品の制作などを手掛けており、プログラマー、エンジニア、webデザイナー、建築家、数学者などさまざまな専門家が社内にそろう。こうした各分野の専門家と議論を重ねながらモノ作りをしていくため、それに適したオフィス空間を作り上げているという。

 「自由な発想で創造性を発揮するためには、“間違ってもいい”という環境を作ることが重要です。そのために、まず“空間”から自由にしていこうと考えました。整っている空間や一般的な空間からは、創造性は生まれてきません」(河田氏)

photo 河田将吾氏

 「間違ってもいい」という環境を作るために実践したのは、社内にあるイスの形や色を全てバラバラするなど、あえて“間違っている空間”を作ることだった。そうした空間を作ることで、常識にとらわれない多種多様な考え方が許され、自由な気持ちになってもらうことに狙いがあるという。

 また、色の活用も意識する。「色には心理的作用があります。例えば、緑色にはリラックス効果があり、黄色は気分を明るくさせます。壁の色一つで会社全体の雰囲気も大きく変わるのです」(河田氏)

 他にも、ユニークな取り組みがある。その一つが「会議室を作らないこと」だ。会議室を作らず、社内の会議も顧客との打ち合わせも、全て同じ空間(フロア)で行う環境を作っている。情報を会議室に閉じ込めず、何を話し合っているのか周りから分かるようにすることで、その会議に興味を持った人が自由に出入りでき、自由に発言できるようにするためだ。

 そうした空間が、さまざまな視点のあらゆる意見を集めることにつながり、創造性、生産性を高めるとしている。

 「ホワイトボード禁止」の取り組みも面白い。同社には壁に設置された一般的なホワイトボードは存在せず、テーブルにホワイトボードの機能をもたせている。

 「全員がフラットな関係で、意見を自由に書き込める環境を作りました。壁に設置されたホワイトボートを使う場合、どうしても誰か1人が前に出てプレゼンをする形になってしまい、全体から活発な意見が出てきにくくなります」(河田氏)

 テーブルに意見を書き込めることで、平等にメンバー全員が意見を言いやすい(書き出しやすい)空間を作り出し、より議論を活発化させているという。

 河田氏は「重要な仕事の大部分は個人的な作業よりも、人とのコミュニケーションが占めています。そのコミュニケーションをより自然に行うことができ、また、活発な議論が生まれるようなオフィス作りの工夫が今求められている」と語り、本セッションを締めくくった。

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