文章力不足はさらに重大な問題を生み出している。文章力というのは、文書を作るためだけに役立つのではなく、コミュニケーション能力と結びついている。あえて極端な表現をすれば、「文章力不足の人はコミュニケーション能力が不足している」と言えよう。
コミュニケーションは、人と人とが理解しあうことと解釈される。それも間違ってはいないが、企業活動におけるコミュニケーションとなると、その段階にとどまらず、自分の考えや思いを、相手に理解して納得してもらうことまで要求されよう。
説得力が必要なのだ。顧客にこちらの条件をのんでもらう。謝罪の言葉によって、快く許してもらう。それらを勝ち取らねばならない。
そのためには、相手や場面に応じて、どのように表現すると効果的なのかを考える必要が生じる。文章を書くときに、そのような“考察の力”が鍛えられるのである。
文章は相手に情報を伝えるものである。的確に伝えるには、相手や場面を考えて最も効果的な表現を考えなければならない。会話の場面ではゆっくり考える時間はないが、文章を書く場面では、さまざまなシミュレーションで考えることができる。
そこでは、論理的な考え方が醸成されるし、効果的な表現力も身についていく。文章を書くこと、文章力を向上させることは、まさに「企業で必要とされるコミュニケーションの力を鍛える」ことになるのである。
有能な人材を育てようとする企業にとって、いま、社員の文章力を向上させる取り組みが求められているのではないだろうか。
© 株式会社イーディアス All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング