リサイクルの「エンタメ化」がデロリアンを走らせた(3/8 ページ)

» 2016年03月17日 08時09分 公開

ハリウッドの映画会社との交渉・調整

永井: へえ! でも、ハリウッドの映画会社(ユニバーサル)との交渉・調整は大変だったのではないですか?

岩元: 実はやりたいと思って連絡をとったのはイベントの半年前の2015年の3月なんですよ。でも、趣旨を丁寧に説明してご理解いただいてあのような発表会を実現することができました。最初はデロリアンを米国のNBCユニバーサルからレンタルすることも考えたんですが、いろんな場所でたくさんの人にデロリアンを実際に見たり、乗ったりしてもらうために、思い切って購入させてもらいました。それが結局、その後の消費者の行動を変えることにもつながりました。

永井: 先ほど、リサイクル=分別、という固定概念を受け入れ側の技術でブレークスルーされたお話がありましたが、消費者に対しては、リサイクルとエンタメ――一見真逆の存在を、一緒に訴求するというのも、発想の大きな転換だし、「一見非合理だけど極めて合理的な判断」なんだと思いました。

 そのためのデロリアンへの投資でもあったわけですが、ずばりいくらくらい掛かったんでしょう?

岩元: クルマの値段は内緒です(笑)。でも空輸だけで500万円以上掛かりましたね。

 我々も講演会とか、回収ボックスの設置とか「真面目な」取り組みも以前から続けています。でも、その方法だとリサイクルに関心のある一部の層の方々だけにしか参加してもらえない。それだと世の中は変わらないと思うんです。「真面目」なことだけをしていても世の中は変わらないんです。

 だから使わなくなったオモチャを持ってきてもらって、遊びながら学べるワークショップをやったり、音楽ミニライブと組み合わせたりといろんな企画をしています。デロリアンはその究極の形なんですよね。技術はすごいんだけど、リサイクル企業というくくりで見られていた当社が、デロリアンという誰もが知るシンボルによって、海外からも「なんだか凄い会社があるぞ」と取り上げてもらえたのは、今後の海外展開にもつながるきっかけになったと思います。

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