ネット告発で炎上するケース、しないケース……その違いとは?炎上の火種(1/4 ページ)

» 2016年03月18日 08時00分 公開
[藤田朱夏ITmedia]

著者プロフィール:藤田朱夏

ソーシャルリスク総研(株式会社エルテス)広報担当

 日本マイクロソフト株式会社を経て2015年8月、株式会社エルテス入社。以来、企業広報を中心にプレスリリース配信、取材対応、ブランド戦略などに従事。2016年2月、同社内に新設されたソーシャルリスク総研にて広報を兼任。執筆を中心に大学機関に対する講演など、広くソーシャルリスクに関する啓蒙活動を行う。

 ソーシャルリスク総研は、株式会社エルテスによって2016年2月に設立されました。ソーシャルリスクを低減させることを目的とした研究機関として、ネット炎上などのソーシャルリスクに関する研究を行い、その成果を社会に還元してまいります。


ネット告発の投稿例

 異物混入、接客態度によるトラブル、悪質な労働環境など、企業の不祥事へのクレームをTwitterやFacebookなどのソーシャルメディア上で行う「ネット告発」が増えている。ネット告発が起きると、告発された企業への批判が爆発的に増加する「ネット炎上」が発生し、レピュテーションの低下に伴う顧客離れ、売上低下、取引停止など企業に与えるダメージは計り知れない。

 ネット告発は、従来の告発と違い気軽にできるため数そのものが多く、企業としては新たな脅威に対応しなければならない一方で、すべてを追いきれないというジレンマがあるだろう。ところが、ネット告発が起きても炎上しないケースも多く存在している。つまり、すべてのネット告発が企業に影響を与えるわけではないのだ。ネット告発で炎上するケース、しないケース、両者の違いは何か。

 ネット告発とはどのようなものか。次の3つの流れを見てみよう。

(1)告発内容の投稿および拡散の呼びかけ

 まず、告発したい企業の不祥事の内容がTwitterなどに投稿される。その場合、「拡散希望」という文言を冒頭に付け加えられることが多い。これは従来の告発でいう「ビラまき」と同じで、企業の不祥事を世に広めようとする行為だ。ビラまきと違ってソーシャルメディアではワンクリックで拡散することができるため、短時間で大人数、それも全国、あるいは世界中に企業の不祥事が知られることになる。

(2)企業の対応についての経過報告

 ネット告発が拡散されて炎上すると、企業が対応に動き出す。例えば異物混入の告発であれば、訪問、回収、検査、返金・返品対応、謝罪などさまざまな工程が発生するが、そのすべての動きをソーシャルメディア上に投稿されるケースが多い。「電話があった」「○○部の人が謝罪にきた」など個別事象が報告されるだけでなく、企業が報告書などの書面を送るとそれを写真にとって投稿されるため、企業としては告発者だけに個別対応しているつもりでも、全国、全世界に行動が筒抜けとなる。

(3)結果報告

 最後に、結果が投稿される。いくらの返金があったのか、お詫びの品は何か、どの役職までが対応していたか、そして企業の対応に満足か、不満か、といった内容が投稿される。この際不満に感じられていると、再び「拡散希望」の文言付きで、今度は不祥事に対する企業の対応が悪いという点について告発される、という悪循環に陥るケースも少なくない。

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