「大人のぬり絵」は、別のブームも牽引している。体験イベントだ。例えば米国でも、電子書籍やネット書店の出現によって実店舗の書店が相次いで倒産している。これは米国に限らず、日本や世界各地で起きている現象だと言える。米国では、そんな現状にまさに救世主的なイベントとなっているのが、店頭で行われる「大人のぬり絵」の体験イベントなのだ。
大きい規模では、2015年11月に米国最大手の書店「Barnes & Noble」が、全米で「All American Art Unwind」というイベントを開催した。店頭に用意されたイベントスペースで、「大人のぬり絵」の作品に色を塗っていき、完成品をInstagramやTwitterなどでシェアするというものだ。
このようなイベントは、書店から足が遠ざかっている客を取り込むきっかけとして、効果を発揮している。またブームに乗って、多くの書店に「大人のぬり絵」コーナーが出現している。その売り場に陳列されている、色鉛筆などの関連商品も本同様に売り上げが伸びているという。
ちなみに、ブラジルでも「大人のぬり絵」が爆発的ブームになっており、色鉛筆の売り上げが5倍に急増したメーカーもあるという。また色鉛筆の不足により、ストアで商品の奪い合いが発生するなど、ちょっとしたニュースにもなっている。
そして、「大人のぬり絵」にはもうひとつ特徴的なことがある。「大人のぬり絵」は回し読みができない。一度色を塗ってしまえば、新しいモノが必要となる。そのため、一般書籍よりも売り上げが伸びていると考えられる。
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