新型プリウスPHV 伸びたEV走行距離と後退した思想池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/5 ページ)

» 2016年04月04日 08時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

飛躍的な向上を遂げた

 ベースになったプリウスに乗った限り、先代と新型はあらゆる面で超えられない壁がある。1台のクルマとしてとても及第点があげられなかった旧型に対して、新型はきちんと平均点の取れるクルマになった。主に速度制御能力とハンドリング、乗り心地の3点だが、細かく言えばキリがない。違うメーカーが作ったのかというほど、そこには大きな差がある。

 プラグインハイブリッドならではの進歩もしている。例えば、従来発電機としてのみ使用していた補機にワンウェイクラッチを組み込み、従来の走行用モーターだけでなく、発電機もモーターとして機能するように改善されたことで、動力性能が向上している。

ナビや車両の情報のほか、充電関係の情報を集約する大型タッチパネル ナビや車両の情報のほか、充電関係の情報を集約する大型タッチパネル

 さらにはアイドルストップ時の冷暖房という課題に対しては、ガスインジェクション機能付きヒートポンプオートエアコンを採用して対策が行われている。このエアコンには室内側にもコンデンサー(排熱機)を付けることによって、従来のプリウスが苦手としていた暖房機能を向上させている。

 プリウスは燃費改善のため、従来のエンジンに比べて水温をかなり低く保つことで熱損失を徹底的に抑える設計になっている。燃費には有利だが、排熱を利用していた暖房にそのしわ寄せが来る。新型では排熱だけに頼るのをあきらめて、エアコンの効率化によってその弱点をカバーする設計が成されているのだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.