語り手は、新聞社勤めのサラリーマンで、どこにでもいる普通のパパ。ドイツ・ミュンヘン市郊外で、奥さんと3人の子どもと暮らしています。
いざ本のページをめくると、すぐに「うん、そうそう!」と強く共感するフレーズが次々と飛び込んできます。
「子どもを持つということは、タフな神経を要求されるということだ。大切なのは、とにかく何があっても動じない図太さだろうね。ミュンヘンの地元チーム、FCバイエルンの応援席に座り、宿敵ドルトムントの黄色と黒の縞模様の派手な応援旗を思い切りふってみよう! これができる人は、多少のことでもびくともせずにのりこえていけることだろう」
本当に。このタフさがほしいです。これさえあれば、私も細かいことでギャーギャー毎日子どもにわめくことなく、いいのよそんなこと、と余裕の笑みで彼らの相手ができているかもしれません。
とにかく育児をしていると、突き当たる問題なんて山ほどあります。何事も問題なく1日が終わっていくことなんてないくらい。そんな日々の問題に大人も泣く日もあれば、疲れのあまりなぜか笑ってしまう日もあり、目の前の問題を放り投げて空想の世界に逃げ込むことだってあるのです。
そんなことは当たり前だよ、それでいいんだよと、気持ちを楽にしてくれるのがこの作品の魅力です。「レストランに子連れで入ったときには」「寝不足シンドロームに陥ったときには」「子どもの質問に答えられないときには」「日曜日にのんびり休めなかったときには」などという具体的な問題にも触れてくれ、育児で疲れた心にそっと薬を塗ってくれるのです。
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