いま各社が動画配信ビジネスに夢中になるワケ西田宗千佳のニュース深堀り(4/4 ページ)

» 2016年04月14日 08時00分 公開
[西田宗千佳ITmedia]
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SNSやゲームを押しのけて「動画を見る」習慣を作るには

 スマートフォンが巨大な動画メディアの市場になる、と誰もが予測しているものの、現状は、テレビがもっとも高い広告価値をもち、ビジネスを回していることに疑いはない。スマートフォンはようやく普及が一段落し、これからメディアとしての活用が広がるところだ。スマートフォン向けに見逃し配信をしているテレビ局にしても、現状では、その広告ビジネス規模がテレビに追いつくには、まだまだ時間がかかるだろう、と見ている。

 スマートフォンの弱みは、テレビほどの「視聴習慣」を構築できていないことにある。テレビは「リビングにあってなんとなく見ている」時間も長く、広い世代に普及している。若い世代では視聴習慣が切れつつあるとはいえ、影響力の大きさは否定できない。視聴習慣ができてからゲームやビデオがやってきたテレビは、放送そのものがやはり強い。一方でスマートフォンは、SNSやメッセージングが先に確固たる地位を築いており、その次がゲーム。映像配信はこれからの分野でもある。そこでどれだけの視聴習慣とメディア価値を作れるかがポイントだ。

 サイバーエージェント・藤田社長は、「スマホで一番にならなくてもいいが、暇なときになんとなく開くアプリの1つになりたい。TwitterやFacebookを開いたら、その後はAbemaTVを……となれば」と目標を語る。dTVはドラマや映画が中心のサービスだが、4月4日より、フジテレビと提携し、フジテレビのニュースメディア「ホウドウキョク」のニュース動画を配信することになった。ニュースはドラマと違い、細切れの時間でも視聴できるため、日常的な利用を促進できる。そこから「時間があるときにはとにかく開いてもらう」という習慣をつけてもらいたい、という狙いだろう。

 スマートフォンが巨大市場であることに疑いはないが、そこが「巨大な動画市場」になるかは、「スマホで動画を見る」行為がどれだけ当たり前のものになるかがカギを握っている。

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