今では、多くのメディアに取り上げられ、時の人となった中村さん。これからは、この水平開きの技術を多方面に展開していくことも考えている。
例えば、地図、楽譜、絵本、教科書などだ。これらの商品は、中央部分が谷になって見えづらくなっているものが多い。同社の技術でぜひ開発してほしいと、既に各企業から問い合わせが来ているという。ただし、中村さんはノート以外の商品については、まだしばらく手をつけないとも話す。
「今はとにかくノート作り。このノートが届くのを待っている多くの人に一刻も早く届けたいのです。教科書や地図などの展開は、ノートの生産が落ち着いてからにします」(中村さん)
今まで、企画・開発の経験がほとんどなかったのにもかかわらず、大企業でもなかなか出せない大ヒット商品をなぜ作り出すことができたのだろうか。最後に、中村さん聞いてみたら、こんな回答が返ってきた。
「私たちは、崖っぷちだった。売れなきゃ廃業の背水の陣だった。何が売れるのかマーケティングをしている余裕もない。『自分が欲しい』と思う商品なら売れると信じた結果、このアイデアが生まれたし、難しくても成功するまで取り組めたのです」(中村さん)
崖っぷちだったからこそ生まれた“おじいちゃんのノート”。それが奇跡を起こして廃業の危機を救った。ピンチはチャンスという言葉があるが、まさにそれを体現したようなお話である。中村印刷所の今後の展開が楽しみで仕方がない。
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