災害が多い国に学ぶ、倒れても立ちあがる「復活力」事例に学ぶ、地方創生最前線(1/4 ページ)

» 2016年04月22日 08時00分 公開
[石川孔明ITmedia]

 連載最終回となる今回は、北欧の小国アイスランドについて取り上げる。最近首相がパナマ文書絡みの騒動で辞任したことが話題になったこの国は、スカンジナビア半島から海上800キロ離れたところにある小さな島国だ。小さいといってもその面積は日本の総面積の4分の1以上、つまり北海道と四国を足した程度である。そこで暮らすのは約32万人(これは新宿区あるいは秋田市に相当)、かつその7割が首都レイキャビク圏に集中しているため、国土の大半は大自然となっている。

偶然出くわした市街地中心部での抗議活動。老若男女が参加していた。騒動初期には2万人が参加したそうで、これは人口の約6%にあたる

 日本とアイスランドには共通点が多い。島国であり、それぞれ暖流と寒流がぶつかる漁場に面しているため、漁業が非常に盛んだ。漁業は長らくアイスランドの主要産業であった。欧州大陸でよく食されるタラのほとんどがアイスランドからの輸入だったほどで、その漁業権をめぐり英国と戦争をしたほどだ。また火山が多いため、噴火や地震による災害と向き合ってきた。1973年には南部ヘイマエイ島における噴火により同島中心部の一部が火山灰にのまれた。2010年、11年にも噴火があり、その火山灰が欧州の航空路線を麻ひさせたのは記憶に新しい。

火砕流と火山灰に呑まれたヘイマエイ島の民家。幸い港が被害を避けられたため、主要産業である漁業がいち早く復興し、避難した住民たちは早期に帰還することができた
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