日本ハムが“ハンカチ王子”を「クビ」にしない理由赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2016年04月27日 07時07分 公開
[臼北信行ITmedia]

日本ハムが描き続けるシナリオ

 こうした側面から企業経営を考える上で、日本ハムにとって斎藤はまだまだ魅力的な所属選手であることは間違いない。その斎藤については現状で二軍暮らしが大半であるにもかかわらず、球団内からは実際のところ「さすがに大谷と中田の2トップには及ばないが、グッズの売り上げは他の主力クラスとそん色ないかそれ以上」との証言もある。

 グッズ収入のように目に見える形のものだけでなく、他の部分で反映される莫大なCM効果も斎藤にはあるらしい。球団関係者によると「あの佑ちゃんがいる球団=日本ハム」として認知している一般層の人が世間には相当数でまだ存在するとのこと。その具体的な人数も非公開レベルながら球団内部でデータ化されて保管されており、これは球団幹部たちの間でも無視できない事実として受け止められているという。

 例えば、野球にそれほど詳しくなくても「佑ちゃんは一軍ではないけれど、彼がいるチームだから日本ハムの試合を応援しに行ってみようか」と思うような人も中にはいるということだ。これは逆に言えば、かつての「ハンカチフィーバー」の名残が世間に残っている証明でもある。そう考えると、やはり斎藤佑樹という選手がアマチュア時代に一世風靡(いっせいふうび)した“残像”は人々の脳裏にいまだ焼き付いているのだろう。

 日本ハムは、その“残像”がプロでリアルに蘇ることを本気で期待している。すでにプロ入りから5年もの歳月が経過しながら、ここまでさしたる成績を残せていない。だが我慢に我慢を重ねた末にチームの戦力となって眠り続けていた才能が開花すれば、先に挙げた「佑ちゃん」を知る一般層を中心に爆発的人気が再燃する――。それが日本ハム側の描き続けるシナリオだ。

斎藤佑樹投手の年度別成績(出典:北海道日本ハムファイターズ)

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