“タダ乗り日本”にイラつくオバマは、安倍政権に何を要求してきたのか世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)

» 2016年04月28日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

「外交を仕切る上層部」を軽蔑

アトランティック誌の表紙

 まずこの独占記事で、オバマの“本音”が見受けられる印象的なポイントを紹介したい。オバマはインタビューの中で自分自身について「私については、世界のすべての苦難を私たちがいつでも取り除けるわけではないと考えるリアリスト(現実主義者)と呼べるだろうね」と語っている。そして、「本当にインパクトを与えることができる場所は、きちんと選ばなければならない」と述べる。リアリストであるオバマは国外の問題に何でもかんでも介入するのはいかがなものか、と考えていることが分かる。

 これはオバマがこれまで表立って主張してきた「米国は世界の警察ではない」との路線に通じるものであり、オバマ外交における1つの哲学だと言っていい(参照リンク)。

 さらに記事は、オバマにとって最大の外交的ミスと言われている出来事にも触れている。オバマは2013年、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したら武力行使に乗り出すと宣言したが、結局その発言を実行しなかった。それによって、米国は一部の国から「信用ならない」と見られるようになったと指摘されてきた。

 これについてオバマは、これまでの米大統領が暗黙で従ってきた、お決まりの「プレーブック(戦術)」を覆すことができたと主張し、「誇りに思う」と胸を張って答えている。オバマは、「政府には大統領が従うことになっている『プレーブック』が存在する。それは外交政策を仕切る上層部が出してくるものだ。その『プレーブック』には出来事ごとにどう対応するのか指示があり、多くの場合は軍事的な対応につながる傾向がある」と語る。

 ゴールドバーグ記者によれば、オバマはこうした「外交を仕切る上層部」を密かに軽蔑しているという。オバマはこう続ける。「米国にとって直接的な脅威となるなら、それ(プレーブック)で機能するだろう。だが悪い決断につながる可能性をもたらす落とし穴にもなりかねないのだ」

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