目指すビジョンに関して、ベゾス氏は「数百万人という人が宇宙で暮らし、働けるようにしたい。宇宙までも見据えた文明(spacefaring civilization)にしたい」と語り、「将来的に地球を救うには宇宙を活用しなければならない。限られた地球資源のためにもほとんどの重工業は地球外に移行し、地球は居住用または軽工業用のための地域とすることを考えている」と力を込めた。
実現性うんぬんは抜きにして、そのビジョンや発想の大きさに筆者自身も感銘を受けたが、それは会場に居合わせた人たちにとっても同じだったようだ。筆者の座席の近くには軍関係者が多数座っていて、手持ちのノートにベゾス氏の発言のメモを取る姿が印象的だった。立場や役割を超え、多くの人にとってベゾス氏の話に高い関心を寄せているのを感じた。
また、自身が創業した米Amazonとの対比の話もあった。Amazon創業時を振り返り、「当時、既に郵送サービスやネットアクセスを可能にする電話回線、クレジット決済などのインフラがあった」とする一方で、「宇宙に関してはそういったピースがない。重要なのは現状よりずっと低コストで宇宙へ行けるようになることだ」「さまざまな起業家が多様なことに取り組み、次の時代へと導いていくことだ」と展望を述べた。
途中、インタビュイーからは同じく再利用ロケット開発を目指すSpaceXとの競争に関する質問も飛んだが、「偉大な産業というのは、1社、2社の企業を生むのではなく、数百ないし数千もの勝者を生むものだ」として、産業全体の発展を言及した。
またNational security(安全保障分野)への貢献に関しては、「米United Launch Alliance(打上げサービス企業)が開発中のVulcanロケットにBE-4エンジンを提供することで貢献できる」と説明した。
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