133年目の奇跡を成し遂げたレスター・岡崎慎司のスゴさ赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2016年05月03日 06時47分 公開
[臼北信行ITmedia]

無類のタフネス・ジャパニーズ

 さて、岡崎に話を戻そう。そんな弱小チームの一員となって背番号20を与えられたのは2015年の6月末。それまで4年半ほどプレーしていたドイツ・ブンデスリーガではFSVマインツ05在籍時の2013-14シーズンに日本人最多得点記録となる15得点をマークするなど数々の功績を残し、その輝かしい経歴を引っ下げての移籍だった。だが前半戦はなかなかチームにフィットできずベンチを温めるシーンも多く、苦境も味わった。それでも徐々にラニエリ監督やチームメートたちの信頼を勝ち取っていき、最終的にはスタメンの座を奪い取った。「点を取ること。とにかくゴールを意識する」

 ドイツから英国へ――。言葉も文化も、そして何よりサッカースタイルも全く異なる環境へ飛び込む苦労は我々の想像を遙かに絶する。移籍直後はどうしてもプレー以外の気苦労にも知らず知らずのうちに神経を奪われ、FWとして、その当たり前の意識を忘れがちになっていた。だが、ベンチからラニエリ監督によって今季よりセンターフォワードに抜てきされたヴァーディが自身の武器である豊富な運動量を生かし、水を得た魚のようにゴールを量産し続ける姿を見て闘魂に再び火が付いた。

 フィジカルの強さとスタミナ、それに豊富な運動量は群雄割拠のブンデスリーガでも徹底的に鍛えて磨いてきた。自分だって負けてはいない。そういう自負が岡崎の気持ちの中にもあった。その気持ちが結実し、背番号20は段々とチームにとってなくてはならない存在となっていった。

 無類のタフネス・ジャパニーズはヴァーディや、右サイドハーフを主に配置されるアルジェリア代表MFリヤド・マフレズのカバーもこなす。攻撃から守備に切り替わった際、動き回っていた彼ら2人が担当すべきところにスペースが空けば、それを岡崎がフォローする。他の選手の倍以上走り続ける岡崎を見て、いつしかラニエリ監督は「こんなにも献身的で高い運動量を誇るスゴい日本人選手を見たことがない」と感嘆の言葉を口にするようになっていた。

(出典:レスター・シティFCの公式Webサイト)

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