ふりかけの定番「ゆかり」の裏話高井尚之が探るヒットの裏側(1/5 ページ)

» 2016年05月10日 08時00分 公開
[高井尚之ITmedia]

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

日本実業出版社の編集者、花王の情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の本音の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。

「カフェと日本人」(講談社現代新書)「セシルマクビー 感性の方程式」(日本実業出版社)「『解』は己の中にあり」(講談社)「なぜ『高くても売れる』のか」(文藝春秋)「日本カフェ興亡記」(日本経済新聞出版社)など著書多数。 E-Mail:takai.n.k2@gmail.com


 パン、ラーメン、うどん、パスタなどさまざまな食事が楽しめる現代だが、それでもご飯の人気は高い。そんなご飯のお供である「ふりかけ」は、鳥そぼろ味や納豆味など多彩な商品が出回って市場は拡大しており、市場全体で約300〜350億円といわれる。

 そのふりかけ市場で、昔も今も代表ブランドの1つが、シソ味の「ゆかり」(三島食品)だ。学校給食でも提供されるので、子どもの頃から好きだった人も多いのではなかろうか。

 もともと、ふりかけの元祖は大正時代に発売された「御飯の友」(フタバ)だという。薬剤師の吉丸末吉氏が、当時の日本人のカルシウム不足を補うために「魚の骨を粉状にして味つけしてご飯にかける」食品を考案した、今でも健在の商品だ。全国にふりかけが普及したのは高度成長期に入ってからで、1960年に現在もトップブランドである「のりたま」(丸美屋食品工業)が発売され、1970年に同2位を争うゆかりが発売されている。

 ふりかけの味でいえば、当時の東海地方で人気だった刻み赤シソの漬物に注目し、それを粉末のふりかけにしたゆかりは画期的な商品だった。そこで今回は同商品を例に、成熟市場の再活性化の視点でも分析してみたい。

photo 「ゆかり」
       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.