コミュニケーションに関する講演をする機会が多数ありますが、常に申し上げているのはコミュニケーションが、それ単体で成り立つことはないということです。コミュニケーションは道具であって目的ではありません。就活する新卒学生などが大いに勘違いしていることも多く、ビジネスの上で役に立つものではあっても、コミュニケーションだけ長けていたところで、それは何の役にも立ちません。
今回舛添氏は意味もなく記者への説明やテレビ出演をしたのではなく、本当は目的があったはずです。それは「事態の鎮静化」です。都知事としての評判が落ちれば業務に支障が出るばかりでなく、最悪前任の猪瀬氏のように職を追われる可能性だってあるのです。
舛添氏のロジックは、前任者と違い違法行為を働いていない以上自分は悪くない=間違った行為でない=知事として適正で問題ないという主張です。前任の轍は踏まない隙のなさは超秀才たる舛添氏の真骨頂かもしれません。
しかし政治家には、選挙という関門があります。ビジネスエリートやキャリア官僚と政治家が決定的に異なるのは、この選挙による一般有権者の支持を得なければならないという点です。一般有権者はエリートとは限らず、むしろ数からいえばそのマジョリティはロジックより感情で投票行動を行うノン・エリートといえるかと思います。選挙はそうした一般有権者のマジョリティを得た人が選ばれるのです。
一般有権者の投票行動を大きく左右するのは印象であり、イメージ戦略です。外見の良さは確実に選挙でも有利で、事実最近は元芸能人、グラビアアイドル、女優といった人が続々と政治家になっています。あるいは二世三世と、「政治家イメージ」を強く持っている一族も確実に有利です。
テレビの人気バラエティ番組でタレントとしての名を売り、今や大統領最有力候補にまで上り詰めたトランプ氏の例のように、日本に限ったことではなく、政治家としての適性とは関係ない外見、知名度、イメージは政治に大きく影響しているといえます。
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