決算発表と2人の巨人 鈴木修と豊田章男池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/5 ページ)

» 2016年05月16日 08時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 さて、各社の決算の優劣をどこで見るかと言えば、原則としては利益率だ。に各社の売上高と営業利益率を並べてみる。スバルの利益率が飛び抜けているのは北米での成功が効いている。ただし、比較すれば分かるように、売上高ではトヨタが飛び抜けており、およその目安で言えば、第二グループのホンダと日産はトヨタの半分、第三グループのマツダ、スズキ、スバルはトヨタの10分の1。三菱は15分の1という具合になる。

図 各社の売上高と営業利益率 図 各社の売上高と営業利益率

 小さければ小さいほど、得意とするマーケットの動向に大きく左右される。売上高で4位のマツダ以下は、どうしても浮き沈みが多くなるのは構造上仕方がない。浮いたときには今回のスバルのような驚異的な利益率を叩き出すかもしれないが、それはやはり瞬間風速に過ぎない。そういう意味では、どこの地域にも特化することなく27兆円という突出した売上高を記録し、併せて営業利益率10%を叩き出したトヨタは化け物だと言えるだろう。売上高と利益率がともに高いということは、今後の投資余力が大きいことを意味し、それは今後さらに弱肉強食が進むことへとつながる。

北米マーケットでの大成功によってスバルに空前の利益率をもたらした原動力はこのアウトバック(日本名:レガシィ・アウトバック) 北米マーケットでの大成功によってスバルに空前の利益率をもたらした原動力はこのアウトバック(日本名:レガシィ・アウトバック)

 今回の決算で目立つのは、前年度に比べ利益率を大きく落としたホンダだ。マイナス要素はタカタがらみの品質関連費用の増加だ。値引きを減らし、高付加価値商品へのシフトを進め、原価低減の努力をして積み上げたプラスがほぼ吹き飛んだ格好になっている。ただし、ホンダによれば、新たなリコールが起きない限りにおいては、タカタ問題への対策費用は昨年までに引き当て済みであり、今期以降はリスク要因として心配する必要はないとしている。

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