間違いがちなフレームワークを総点検 「そのポジショニングでは売れない」マーケティングなんてカンタンだ!(3/4 ページ)

» 2016年05月20日 07時20分 公開
[金森努INSIGHT NOW!]
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軸が顧客(ターゲット)のKBFになっておらず、「自社がアピールしたい点」になっている

 例えば「缶コーヒー」において、「生産量の少ない希少豆を使用」して、従来にない本格的な味を実現した商品を作った。価格は一般の缶コーヒーとは全く別次元の製品なので「高め」だったとする。すると、軸は「希少豆使用」×「価格:高め」という、軸とポジションが出来上がる。実際にキリンビバレッジは2014年11月より、「ブラジル産の希少黄金豆「ブルボン・アマレロ」を100%使用」し、「200円(消費税別希望小売価格)」で売り出した。「キリン 別格 希少珈琲(きしょうこーひー)」という商品だ。しかし、残念ながら売れ行きが芳しくなかったのか、2015年8月には販売終了となっている。恐らく、缶コーヒーユーザーには「コーヒー豆の希少さ」と「ラグジュアリーな価格」というKBFはなかったのだ。それ故、支持が得られず、恐らく売れなかったのだろう。

ターゲット像が曖昧なので、真のKBFが見えていない!

 そもそも、KBFで軸を切ることによって、その顧客の価値観にマッチするポジションを探さねばならないのに、ターゲット像が曖昧では軸を作ることもできない。マーケティングの戦略立案はセグメンテーション→ターゲティング→ポジショニング(STPと略す場合が多い)の制度にかかっている。前出の「キリン 別格 希少珈琲」も「缶コーヒーにも本格的なおいしさを求めたい」「本当においしい缶コーヒーなら価格が高くても構わない」というターゲット顧客層とそのニーズがあると考えたなら、そのターゲット顧客はどんな人なんか。真のニーズはどこにあるのか。普段何を引用していて、自社が考えている製品の競合は何になるのか……など、顧客とそのニーズをもっと詳細に洗い出すべきなのだ。 そうすれば、もっと異なるターゲット顧客の真のKBFが見えてきて、適切な軸の設定、受け入れられるポジションが取れたかもしれない。

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