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» 2016年06月01日 10時00分 UPDATE

成功企業が共通して採用するIoTアナリティクス・ライフサイクルとは:IoT時代の鍵を握るエッジ・アナリティクス

いまやビジネス世界で話題に欠くことのない「IoT(Internet of Things)」。実はこのキーワードにいち早く着目し、利益を大きく上げている企業は少なくない。そうした企業はいかに取り組みを軌道に乗せたのか。その鍵を握るのは、生成され続ける大量のストリーミング・データの分析から価値を生み出す、アナリティクスの活用だ。

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既に実利を得る段階に入ったIoT

 昨今、注目を集める「IoT(Internet of Things)」。世の中にあるすべての“モノ”にデータ通信機能を持たせ、それらのやり取りを基に、従来では考えにくかった利便性の高い世界を実現する――。そこから類推される世界は、自動車の自動運転であったり、家電の自律動作であったり、AI(人工知能)を搭載したロボットが、あたかも執事のように身の回りを取り繕ってくれたりなど、さまざまだ。

SAS InstituteのGlobal Manufacturing Industry Practiceでシニアディレクターを務めるゲハード・アルトマン氏 SAS InstituteのGlobal Manufacturing Industry Practiceでシニアディレクターを務めるゲハード・アルトマン氏

 「だが、IoTは、近未来の物語では決してありません。既に実利を得る段階に入っており、成果を上げる企業も相次いでいることをビジネスパーソンなら理解しておくべきでしょう」。こう強調するのは、SAS InstituteのGlobal Manufacturing Industry Practiceでシニアディレクターを務めるゲハード・アルトマン氏である。

 例えば、SASの顧客であり、商業用トラックやバス、エンジンなどを手掛ける大手輸送機器メーカーの米Navistar International Corporationでは、競合他社との競争が激化する中で、顧客を自社につなぎとめる新たな施策が強く求められていた。そこで顧客車輌における部品故障を防止するため、全車にセンサーを搭載して安全性の向上、サービスレベル向上への取り組みを開始したのだ。

 顧客の車載センサーから常時ストリーミング送信される、エンジンの状態や故障コードなどの車両に関する多次元データを、SASを活用して迅速に分析することで、緊急度に応じた車輌メンテナンスの優先順位付けを行い、高い確率で故障を事前に防止することが可能となった。加えて、顧客のトラックやバスの安全性を向上させるだけでなく、安定した輸送時間の最大化など、顧客の利益にも確実に貢献している。

新たな知恵の絞り合いを勝ち抜くには?

 IoTデータの分析で実績を上げている米国の石油精製企業の例もある。

 インフラ企業にとって、設備の稼働率は利益を大きく左右するため、トラブルによる稼働停止時間をできる限り短縮させることが経営サイドの使命となる。この点を踏まえ、同社ではプラント全体で210万種類ものセンサーを配置するとともに、オイルの生産量の最大化に向け、排熱のための水量などの管理項目の最適値を求める予測モデルの設計に注力。

 今では、1日あたり3兆レコードのデータを施設のモニタリングに活用することで、稼働率を格段に高め、可能な限り故障を未然に防ぐことに成功しているのだという。ポンプ1台が故障した場合の1日の想定損失額が200万ドルにも上ることを考えると、データ分析による成果の大きさが分かる。

 これ以外にも、電力・小売・医療・通信・公共などさまざまな業種でSASを活用したIoTデータ分析の取り組みが進んでいるが、これらの企業に共通するのは、各種センサーなどから取得した多種多量のデータ間の相関関係やパターンを分析し、予測モデルに基づく意思決定をするアナリティクスを活用していることだ。

 「一昔前であれば、同様のアイデアを思い付いたとしても、個々の顧客や機器の状況把握が困難でした。しかし、テクノロジーの進化により、膨大なデータを瞬時に処理して可視化することができるようになり、さらには、データを分析し、発見した傾向やパターンにより将来を予測し、最適な意思決定までを行う“アナリティクス”が、IoT世界のストリーミングデータに対して、リアルタイムに実行できるようになるなど、新たな付加価値を生み出すための環境が整ってきたのです。その結果、企業にとって競争を勝ち抜くための、新たな知恵の絞り合いの時代に突入しつつあるわけです。IoT時代を生き抜くための鍵はアナリティクスにあると言えるでしょう」とアルトマン氏は現状を分析する。

IoTの世界で求められる、IoTアナリティクス・ライフサイクル

SAS Institute Japan IoTソリューショングループ ソリューションコンサルティング本部 マネージャーの松園和久氏 SAS Institute Japan IoTソリューショングループ ソリューションコンサルティング本部 マネージャーの松園和久氏

 先進的な企業は従来から、アナリティクスに積極的に取り組んできた。顧客がいつ、どこで、どの商品を購入したのかを把握するためのPOSシステムは、そこでの代表的な施策の1つだ。ただし、IoT時代のアナリティクスは、従来の取り組みと一線を画す点があるという。

 「ITの進化により、企業はかつてないほど多種多様で膨大なデータを手に入れることが可能となりました。しかし、せっかく収集したデータも、次のアクションが遅れれば陳腐化して価値が損なわれてしまわざるを得ません」と指摘するのは、SAS Institute JapanのIoTソリューショングループ ソリューションコンサルティング本部でマネージャーを務める松園和久氏である。

 「IoTデータから価値を生み出すためには、そのデータ特性を理解したデータマネジメントと、目的に応じて最適な“場所”でアナリティクスを実行できる環境が必要なのです。SASでは、これをIoTアナリティクス・ライフサイクルと定義しています」(松園氏)

IoTのためのアナリティクス・ライフサイクル IoTのためのアナリティクス・ライフサイクル

IoTデータのためのデータマネジメント

 IoTデータの活用と言うと、どうしてもデータ分析ばかりに注目しがちだが、多種多様かつ膨大なデータをいかに抽出、変換、管理するかはアナリティクスの成果を左右する重要なポイントである。

 例えば、各種センサーなどから収集される、いわゆるストリーミング・データをリアルタイムでの意思決定に用いる場合、アナリティクスに適した形への変換や、大量に含まれているノイズデータのフィルタリングなどをストリーミング処理で行わなければならない。分析の目的に必要なデータだけを抽出処理することが求められるのだ。

 ログデータとして蓄積されるデータを分析する場合は、そのデータ量は膨大になるため、Hadoopなどのテクノロジーの活用も不可欠だ。また、さまざまなテクノロジーを用いて構築される各種IoTアプリケーションと柔軟に連携できることも重要である。SASはこれらの全てを実現できるIoTデータのためのデータマネジメント環境を提供する。

IoTのためのアナリティクス

 故障予兆を検知する設備の予防保全や、顧客の店舗内移動を検知し顧客嗜好分析に基づく最適な提案など、IoTは早期検知やリアルタイムでの意思決定に大きなビジネス価値が期待されている。では、IoTのためのアナリティクスとはどのようなものなのだろうか。

 アルトマン氏によると、「そもそもアナリティクスとは、データから発見した傾向やパターンを数式化した“予測モデル”を分析対象となるデータに当てはめ将来を予測することで、経験と勘だけに頼らない、データに基づくより客観的な意思決定を実現することです。IoTの時代を迎えても、これは変わることはありません。変わったのは、この“予測モデル”をどこで実行するか、ということなのです」と力を込める。

 従来、蓄積されたデータを対象に分析を行う場合、基本的に予測モデルはデータが蓄積された環境上で実行されていた。しかし、これではリアルタイムな意思決定に間に合わない。そこでSASはストリーミング方式の予測モデルの実行を可能にするテクノロジーを開発することで、センサー・デバイスなど、目的に応じてどこででも予測モデルを実行可能にした。

 松園氏が続ける。「アナリティクス処理をより現場、すなわちデータの発生源に近い領域に移すことの重要性は、何百万台もの自動車がつながった自動運転の世界をイメージしてもらうと明らかでしょう。データの移動を必要とする従来の集中型の処理では、右折しようとする車、左折しようとする車といった多種多様なデータを瞬時にさばききれず、衝突する車が続出する恐れがあります。だからこそリアルタイムでの意思決定を実現することが強く求められるのです」。

 このように、IoT時代に不可欠なのは、従来から行っている蓄積データに対して、予測モデリングを実施するビッグデータアナリティクスに加えて、目的に応じてさまざまなデータ・ストリームのフェーズでアナリティクス処理を行える「マルチフェーズ・アナリティクス」であり、これらすべてを提供でき、ガバナンスが効いた状態で、シームレスに連携できるのはSASだけだとする。

IoTのためのアナリティクスへの第一歩 IoTのためのアナリティクスへの第一歩

アナリティクスを組み込んだIoT環境の実現

 それでは実際に、アナリティクスを組み込んだIoT環境を構築する際には、どういったポイントに気を付ければ良いのだろうか。

 「まずは、きちんとアナリティクスで成果を出すことが重要」と松園氏は力を込める。そのためには早期に実運用のサイクルを回し、アナリティクスの試行錯誤が可能な状態に持っていけることが求められる。

 一方でIoTを取り巻く環境は、多様なセンサー・デバイス、さまざまな形式のデータソースやイベントストリームエンジン、網羅的なアナリティクス機能、オンプレ/クラウド対応などが求められるなど、環境構築には多くのテクノロジーとノウハウが必要になる。

 「こうしたハードルを下げ、アナリティクスを組み込んだIoT環境を早期に実現できるよう、SASはこの4月からSAS Analytics for IoTの提供を開始しました。膨大なデータを分析するSASの卓越したコア・テクノロジーをIoTセンサーやデバイスへと適応可能にしたIoTアナリティクス専用のパッケージ製品により、スムーズな環境構築と運用開始を支援します。これにより、お客さまは、新たなビジネスモデルのためのアイデアを生み出す創造的な作業にフォーカスすることができます」と松園氏は解説する。競合・市場への対応にさらなるスピード感が求められる今、IoTアナリティクスの第一歩を踏み出すのは、待ったなしの状況なのだ。

 IoTがもたらす膨大なデータへの対応は、企業が競争を勝ち抜くための新たな課題である。そうした時代において、データから洞察と価値を生み出すアナリティクスの活用こそが、その競争力の源泉となる。その一歩を踏み出し、実践することが、今求められている。

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提供:SAS Institute Japan株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2016年6月30日

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