銀座のホステスに学ぶ営業術 毎日を収穫シーズンにする「種」作りとは銀座で学んだこと(4/4 ページ)

» 2016年06月06日 07時06分 公開
[桃谷優希ITmedia]
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うわさを味方に売り方を確立する

 営業で最も大事なのは、「他人を気にせず自分の売り方を確立する」ことではないでしょうか。

 銀座のホステスも同じく、毎日種をまいて収穫しなくてはなりません。どんなにかわいくて真面目なホステスが、お客さまに手紙を書いたり電話やメールもしたり、贈り物も送ったり――と手を尽くしても、数字が伴わないまま3カ月も経てば“できないホステス”というレッテルが貼られます。

 一般の会社と同様、ホステスは数字が全てですから、顔はそこそこでも、数字できちんとお店に貢献していれば、かわいいだけのホステスよりも重宝されて地位が確立していきます。

 私のお店を例に挙げてみましょう。当店では、満席を目標としていません。人件費や仕入れ値、装飾費などの経費がかなり掛かる世界ですから、できるだけ効率よく生産性を高めなくてはなりません。

 ここで、以下2つのケースを考えてみましょう。

  • (1)1人のお客さまばかりで満席の売り上げ
  • (2)4組(1組2人)のご来店で(1)と同額の売り上げ

 当店では、お客さまの人数にかかわらず、1つのテーブルに最低でも3人はホステスを配置することにしています。(1)の場合だと、ホステスは少なくとも40人以上必要になります。他店やお客さまからは「このクラブはいつも満卓で流行っている」と認識されますが、経営上の数字で見ると経費がかさんでしまいます。

 一方、(2)の場合はテーブルに配置するホステスの数も少なく、掛かる諸経費も格段に減ります。経営は成り立ちますが、はたから見れば「ここはいつものんびりしているクラブだな」と認識され、ヒマな店だといううわさが流れてしまいます。

 そんなうわさが流れても、売り上げの内訳は経理や経営者をはじめとする内部の者にしか知り得ないことですから、会社の長期的存続を考えるのなら(2)のパターンのほうがいいのです。

 同時に、「いい人」よりも「なにかとうわさが絶えない」というイメージが付いている人のほうが、数字は伸びるように思います。もちろん、悪いうわさ通りではダメですが、「うわさではあんなふうに言われているけど、実際会ってみると案外そうでもないな」と思ってもらえたら、あなたの種は相手の庭に定着するでしょう。

 営業で数字を伸ばすためには、常に自分の種をまき「毎日が収穫シーズン」という状態をつくること。種の質や売り方は、自分の物差しで計って売るということが大事ではないでしょうか。

桃谷優希氏のプロフィール:

 1988年10月16日大阪府生まれ。16歳のときに処女作『デリンタ(悪魔の子)と呼ばれた天使たち』(文芸社)でデビュー。このほか『国民の声』(文藝書房)に寄稿、『罪追人』(文藝書房)がある。

 京都ノートルダム女子大学卒業後、北新地のクラブへ。その後、銀座に移籍。銀座40周年の老舗「クラブセントポーリア」でナンバーワンの座を手にして、その後26歳の誕生日に某有名店のママに就任。2015年12月、銀座7丁目にクラブ「城」をオープン。


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