少子高齢化もなんのその 島村楽器の業績が好調なワケ水曜インタビュー劇場(楽器公演)(5/7 ページ)

» 2016年06月22日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

島村楽器は存続していなかったかも

土肥: AKB48のCDは売っていない?

伊地: 売っていません(笑)。

土肥: もったいない、売れば儲かるのに。

伊地: おっしゃる通り、儲かるかもしれません。でも、できません。なぜなら、店は地域に密着しなければいけないから。地域に密着するためにはどうすればいいのか。繰り返しになりますが、人を育成するしか方法はないんですよ。

 新しいお菓子が出たのでちょっと食べてみよう、新しいジュースが出たのでちょっと飲んでみよう……という気持ちになって、実際に購入された人って多いと思うんですよ。でも、楽器は違う。価格が高いので、ちょっと試しに買ってみるかという人はほとんどいません。

 他の商品に比べて購入のハードルが高いので、楽器を手にしていただいたお客さまには、「我々がサポートしますよ」といったスタンスでなければ、この商売は長く続けることができないと思うんですよね。もし人を育成していなかったら、島村楽器は存続していなかったかもしれません。

土肥: 人材育成のために、どんなことをしているのですか?

伊地: 研修で「基本的な接客」などを学ぶこともありますが、それほど時間は割いていません。むしろ、人としてどう生きていけばいいのか、どうすれば成長することができるのか、どのようにすれば自分は幸せになれるのか、どのようにすればお客さまを幸せにできるのか――などを考える時間のほうが長いですね。

 ちなみに、こういった手帳があるんですよ(と言って、机の上に手帳を置く)。

島村楽器の「経営理念手帳」

土肥: なんですか、これは。表紙に「経営理念手帳」と書いています。

伊地: 全従業員にこの手帳を渡しているんですよ。創業者の考えがまとめられていて、仕事に関することが100項目書かれています。

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