「周囲は常に評論家ではなく批評家。批評家から自分の社名が出れば出るほど名前が売れる。たとえ非難されても、1円も払っていないのなら騒がれているだけで儲(もう)けもんだよ」
こう話されるのは、建設会社会長のBさん(50代)。Bさんは心臓に剛毛が生えているのでは? と思うほど、強靭(きょうじん)な精神の持ち主です。
われわれホステス業界だけでなく、どの業界でも悪口や批判は日常茶飯事ですが、Bさんの会社も当初はいわれなき批判にさらされていたそうです。
「大きな借金をして起業したんだ。もう後には戻れないし、戻るつもりもなかった。世の中には箸にも棒にもかからない会社がごまんとあるのに、僕が会社を起こして3カ月もしないうち、何かにつけてうわさされたり嫌がらせを受けたり、とにかくひどかった。でも、立ち上げ当初からあれこれ言われるってことは、確かな仕事をしている証拠だと思う。同業者の悪口ほど、いい広告はないよ」
当時を振り返りながら、Bさんは笑っていました。とはいえ、向かい風が厳しい状況の中、信念を貫くには相当の自信と何かの支えが必要です。さらに詳しく話を聞きました。
「当初は全ての取引先から『現金決済が条件だ』と言われてね。われわれの業界、特に中小企業は現金決済を重ねてだんだんと信用を築いていくのがセオリーなんだけど、正直、資金繰りはかなりキツかった。
でも、世の中って不思議なもので、そういうときに自分に“共感”してくれて助け舟を出してくれる人が必ずいてね。ある会社の部長は『あそこは大丈夫ですから』と社長にかけあって手形で決済を通してくれたり、融資をしてくれる会社もあったり、そういう人が2人くらい味方になってくれると会社は大きくなれる。仮に、『あと1000万円足りない』という場合も、信用だけでカバーしてくれる人が周りにいれば会社は回る」と胸の内を明かしてくださいました。
確かに、上に上がろうとする人ほど周囲からの風当たりが強くなりますから、意識していないと“共有”や“共感”の気持ちが薄くなりがち。だからこそ、「周りに誰もいない」という最悪の状況に陥らないよう、周囲に気を使い、ときには“助ける”という意識が大事なのかもしれません。
「共に感じる」というのは日常でも大切です。例えば、家族や友人と一緒に、食事をおいしくいただければお互い笑顔になりますし、きれいな景色を一緒に見て時間を共有できれば雰囲気もよくなります。
モノでもサービスでも、「いいものを共有したい、共感したい」という精神こそが、会社や人を成長させるのに必要なのだとBさんはおっしゃいました。
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