では、なぜ資格を返上するのでしょう。もはや、財務省からの情報提供にメリットを感じなくなったのでしょうか。
まずは、現実的な側面からの判断があると思います。それは、三菱UFJフィナンシャル・グループとしては、この国債市場参加者特別資格を3社で持っているということです。
銀行のほかに、三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券も特別資格を有しており、この2社は返上しないようです。「同じグループ内で3つもいらない」という判断ですが、ではなぜ、三菱東京UFJ銀行の持分を返上するのでしょうか。
それはメガバンクトップの返上が、関係者にかなり大きな影響を与えるからです。それは、マイナス金利への批判とも取れる行動なのでしょう。
これは、「そろそろこのへんで国との関係を見直しましょう」というメッセージなのかもしれません。マイナス金利を導入した後も、なぜ金融機関が国債を引き受けなければならないのか――それを問いただしているような気もします。
いままで日銀を含む金融当局に決して逆らうことがなかった大手銀行が、マイナス金利導入に「遠巻きでささやかな抵抗を示しているのでは」と報じられてもいます。このあたりを強調して、一部の報道では「三菱vs日銀」という構図であおっているようではあります。
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