日本よりも先に、中国がサッカーW杯で優勝する(かも)世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2016年06月30日 06時30分 公開
[山田敏弘ITmedia]

中国はサッカー大国を目指す

 計画では、まず中国サッカー協会を国務院直属のスポーツ機関である国家体育総局から切り離して、予算や人材などの権限を与えるとする。つまり政府からの押し付けではなく、サッカーの専門集団に中国のサッカー強化に向けた取り組みを任せることを目指すものだ。

 そして中国のサッカーレベルを底上げする目的で、サッカー専門のアカデミーを10年以内に5万校に増やすと発表している。イングランドなどのサッカーチームと手を組むとし、事実、習近平国家主席は2015年の訪英時に、強豪マンチェスター・シティのアカデミーを訪問している。ちなみに、広州にある世界最大のサッカーアカデミー「恒大足球学校」は現在、スペインの強豪レアル・マドリードとコーチの契約を結んでいる。

 また2020年までにサッカー人口を5000万人にし、2030年までにはアジアで最強のチームをひとつ作る計画も明らかにした。そして2050年までに中国から世界で最強のチームのひとつを生み出すとしている。ちなみに中国が世界トップクラスを誇るスポーツといえば卓球だが、卓球人口は1億人に上り、それが中国の強さを支えていると言える。

 この計画とは別に、2016年1月には、外国生まれの選手を帰化させるという計画も考慮していると報じられている。とにかくサッカー大国になることをかなり重要視しているということだ。

 もちろんビジネス面での計算も働いている。中国政府は2014年に、国家戦略としてスポーツ分野を2025年までに現在の5倍となる7820億ドル(5兆元)規模の市場にする目標を明らかにしている。サッカーはそのうちの半分ほどを占めることになると言われている。

 中国ではサッカー人気はすでにかなり高い。2014〜15年シーズンのイングランド・プレミアリーグを例に見ると、中国だけで3億5000万人が視聴した。また中国の国内リーグである中国スーパーリーグでも、かつて八百長や汚職でファンが完全にいなくなった時代とは違い、最近は観客が戻ってきており、2014年に比べて2015年は動員数が17%近く増加している。とにかくサッカーファンはますます増加しており、今後もそのポテンシャルは期待されている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.