4000万人がやって来る 外国人が驚く、インバウンド事情

英国で“爆買い”が増える? 外国人がたくさんやって来るかもしれない世界を読み解くニュース・サロン(2/3 ページ)

» 2016年07月14日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

ホテルの予約が急増

英国のホテルの予約率がアップしているという(写真と本文は関係ありません)

 さらに英国で280軒のホテルを抱えるベスト・ウェスタンGBもブレグジットが「ブーム」をもたらしつつあるとする。ホテルの関係者によれば、ブレグジット以降、予約が2倍に増えているという。事実、ブレグジットの投票から1週間で、スコットランドのエディンバラにある同チェーンのホテルは、米国からの予約が前年同時期よりも10倍増え、中国からの予約は50%も増えていると報告している。またヨークにある同チェーン系のいくつかのホテルでも国際的な予約が急増しており、あるホテルでは米国からの予約がすでに236%以上も増加。東部のケンブリッジやイングランド北西部の湖水地方などでは、中国からの予約が10%近く増加している。

 メディアでは、英国を訪問する観光客こそ、ブレグジットの最初の勝者だと主張する記事も見られる。当然のことながら、ポンドが安くなれば、国外からの旅行者にとってホテルやレストランの料金は割安になり、買い物もお得になる。特に世界で最も買い物をしている国ランキングでトップの中国と、第4位の米国人が英国に大量に押し寄せれば、インバウンド市場にはよいニュースとなる。

 こんな見方もある。インターコンチネンタル・ホテルズグループのリチャード・ソロモンズCEOは、「長期的に見ると、ポンドが下がることによる(ホテルなどの)価格低下で、インバウンド旅行が増加することになるかもしれない」が、英国のインバウンド市場の動向は「まだ断言はできないので、もう少し様子を見る必要がある」と述べている。ちなみにソロモンズCEOは、ポンド安で英国人にとって国外旅行が割高になるため、国内旅行の需要が増えると見込んでおり、そちらの動きも注視しているようだ。

 実は、英国観光業界の最近の動向を見ると、ブレグジット前からインバウンドは好調だった。その大きな要因のひとつは2015年からポンドの価値は下落傾向だったことがある。2016年6月、英国の観光局が発表した第一四半期のインバウンドの統計によれば、国外からの訪問者数は前年同時期から6%も増えて736万人に上っていた。これは過去最高の数字であり、しかもその時期のインバウンドの訪問者は、英国に364万ドルを落としたという。そして今回のブレグジットによるインバウンドの増加傾向は、まさにそのポンド安の追い風に乗った形となる。

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