大塚親子は誰と、そして何を闘っているのか(2/4 ページ)

» 2016年07月14日 07時21分 公開
[日沖博道INSIGHT NOW!]
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 しかし、この固有のケース「久美子氏vs勝久氏」もしくは「大塚家具vs匠大塚」に関していえば、2人の経営者の戦略方針の違いが第一幕で経営権争いを生み、今は別の会社として業績を競う状況になっているのであって、たまたまその経営者が親子関係にあるのだ、と捉えるべきだと小生は考える。この見方は「第一幕」のときから変わらない(参考記事:大塚家具の新戦略は理に適っているのか)。

 ではその戦略方針の違いとは何か。簡単に言うと、久美子氏の「一般大衆路線」 vs 勝久氏の「高級路線」という構図だ。巨大店舗を交通至便の地に構えるという業態に惑わされて、両者を似たようなビジネスモデルだと勘違いしてはいけない。全く違うものなのだ。勝久氏はその高級路線を「匠大塚」で遺憾なく発揮しようとしている。いや、大塚家具のときより思い切って研ぎ澄まそうとしているようだ。

 同社の春日部本店はフロア面積約2万7000平方メートルと国内最大級で、大塚家具の新宿や横浜のショールームよりはるかにゆったりしている(小生は有明本社ショールームには行ったことがないので不明だが)。

 意外だが、勝久氏時代の大塚家具で実施されていた受付での記帳はなくなっている。とはいえ、大塚家具が得意としていた、来店客への接客と説明の丁寧さはやっぱり重視されているようだ(販売員の大半は大塚家具出身で、勝久氏の指導下にあった人たちらしい)。

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