大塚親子は誰と、そして何を闘っているのか(3/4 ページ)

» 2016年07月14日 07時21分 公開
[日沖博道INSIGHT NOW!]
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 海外製・国内製とも高級家具ばかりで、近所の人が気軽に買う値段ではない。だが、大量生産の普及品に飽き足らない、高級家具の現物を比べたい客は関東一円からやってくるだろう。とはいえ、この春日部本店は単なる高級品ショールームにすぎないと小生は考えている。本当の富裕層向けビジネスの仕掛けはどうやら日本橋のデザインオフィスにありそうだ。

 自宅のインテリアに徹底的にこだわる真の富裕層なら、出来合いの家具を個別に買うのではなく、プロの建築設計士やインテリア・コーディネーターと相談して自分の理想の室内全体をデザインし、それにマッチした家具を発注したくなるだろう。その際にプロが現物を確認し相談・発注する先となろうとしているのが、匠大塚の日本橋デザインオフィスなのだ。

 こうした高級路線を進める匠大塚に対し、「気軽に入れる店づくり」を旗印とした勝久氏の路線から決別した久美子氏の率いる、大塚家具の現状はどうなのか。騒動の「第一幕」直後の「おわびセール」では一時的に売り上げを増やしたようだが、2016年に入って毎月の売上高は前年割れが続いているようだ。この6月には2016年12月期の業績見通しを下方修正し、単独最終損益が16億円の赤字になりそうだと発表した。

 前年末に「売りつくし」セールを実施した反動も出たという要素もあろうが、来店客数の割に売り上げが伸びない、つまり客単価が低迷しているうえに、まとめ買いに強いと云われた有明本社ショールームの売り上げが落ち込んでいるという状況にあるらしい。

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