大津: 以前はサイト上に書籍名などを入力すると、見積もりが表示されるような仕組みを導入していました。アクセスデータを分析したところ、それがダメであることが分かってきました。というわけで、先方にその仕組みを削除するように提案しました。
土肥: え、でもBOOKOFFのサイトですよね。本を売りたくて売りたくてたまらない人が訪問しているはず。自分が持っている本はいくらで売れるのか知りたいのでは?
大津: 知りたい人は多いでしょう。でも、知ってしまうと売りたくなくなるんですよ。
土肥: どういう意味でしょうか?
大津: 店頭でも同じことができますよね。本を持っていけば、店の人が計算してくれる。全部で1万円を予想していたのに、結果は5000円かもしれません。しかし、その場で判断しなければいけませんよね。売るか、売らないか。提示された金額が安いので、本当は売りたくないけれど「このまま家に持って帰るのは重いから、売ろう」という人もいるでしょう。しかし、サイトは違う。希望金額と見積もり金額に食い違いがでれば、「じゃ、止めよう」と簡単にあきらめる人がいるんですよね。
土肥: 「たくさんの本を梱包して……」といった作業を考えたら、「割に合わないから止めよう」という人も多そう。
大津: あと、本を店頭に持っていったら、部屋にスペースが生まれますよね。せっかく空間が生まれたのに、売らずに持ち帰ったらまた部屋が狭くなってしまう。以前のような生活は嫌だから本を売ろうという人も多いんですよね。でも、ネット上で見積もりをして、そこであきらめてしまうと、「本がなくなればスペースが生まれる」ことを体感することができません。こうしたことから、ネット上で見積もりを出せば、本を売るケースが少なかったんですよね。
土肥: なるほど。未来を予測するだけでなく、コンサルのように改善ポイントを伝えることができると。
大津: 膨大なデータを分析することで、ユーザーが発しているメッセージを見つけることができるんです。見積もった人は本を売らずに、見積もらなかった人は本を売っていました。でも、こうしたことって生の声ではないので、聞くことができません。そこで、私たちが何をしているのか。数字というデータだけではよく分からないので、「ユーザーはこのような行動していますよ」とお伝えしています。
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