土肥: 「AIに仕事を奪われる」「将来この仕事がなくなる」といった話に触れる機会が増えてきました。AIを使って仕事をされている大津さんにとって、この手の話をどのように受け止めていますか?
大津: ネガティブに受け止めていません。1980年代、PCが出てきたころも、いまと同じようなことを言っていたんですよね。「PCの登場によって、今後の社会はどうなる?」といったように。「コンピュータが世の中を支配する」「人間の仕事が奪われる」「トラブルが増える」といった話が多かった。
でも、その後はどうでしょうか。PCが登場したことで、生活が豊かになった人が多いのではないでしょうか。確かに、なくなった仕事もありますが、生まれた仕事も多いですよね。AIも同じかなあと。これまでになかった高度な技術が供給されると、「自分の仕事が奪われるかもしれない」と不安を感じるのは仕方がないのかもしれません。でも、新しいモノを取り入れることは、新しい仕事を生み出すチャンスではないでしょうか。また、AIが普及することで、人間のストレスが減ると思っているんですよ。
土肥: どういう意味でしょうか?
大津: 人間って複雑な計算なんてやりたくないですよね。しかも、すべて正解でなければいけない、と言われると、それだけでストレスを感じるはず。しかし、そうした作業ってAIは得意。であれば、人間が面倒だなあと感じる作業はAIに任せればいいんですよ。つまり、人間が得意な仕事は人間がやって、AIが得意な仕事はAIがやるようになるのではないでしょうか。
とはいえAIが広がることで、問題も出てくるでしょう。ただ、その問題をひとつずつ潰していくことで、人間の不安も解消されていくはず。いまはまだ目に見えないので、多くの人が得体の知れないモノになんとなく怖がっているだけなのかもしれません。
土肥: 未来を予測するサービスって、AIの登場がなければ生まれてこなかった。
大津: ですね。今後は人間とAIをつなぐような、これまでになかった仕事が増えてくるかもしれません。面白そうな世の中になりそうです。
(終わり)
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