暴力団との正しい“付き合わない方法”(3/4 ページ)

» 2016年07月21日 07時22分 公開
[山岸純INSIGHT NOW!]
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(2)暴力団排除条例

 暴力団や暴力団関係者への対抗策は、国レベルだけではありません。近年、いわゆる「暴力団排除条例」が全国的に広がっています。

 例えば、平成16年頃に、広島県と広島市が「本人とその同居親族が暴力団対策法に規定する暴力団員でないこと」を公営住宅の入居資格とする条例を制定したり、東京都内でも、平成21年1月に、豊島区が、不動産取引において暴力団関係者を排除することを規定した生活安全条例を制定したりしています。

 ところで、平成23年10月1日に施行された東京都暴力団排除条例では、他の地方公共団体の同条例などにならい、「暴力団員」のほか、暴力団や暴力団員と「密接な関係を有する者」も「暴力団関係者」として、条例の規制対象とすることとしました。

 これにより、「暴力団員」そのものではなくても、

  1. 暴力団や暴力団員が実質的に経営を支配する法人などに所属する者
  2. 暴力団や暴力団員を不当に利用していると認められる者
  3. 暴力団の維持、運営に協力し、又は関与していると認められる者
  4. 暴力団や暴力団員との間で「社会的に非難されるべき関係を有している」と認められる者

 例えば、

  • 暴力団員であることを分かっていながら、その主催するゴルフ・コンペに参加している場合
  • 暴力団員であることを分かっていながら、頻繁に飲食を共にしている場合
  • 暴力団員の誕生会、結婚式、還暦祝いなど、多数の暴力団員が集まる行事に出席している場合

 なども「暴力団関係者」と判断されてしまい、不動産売買が制限されたり、東京都との随意契約から排除されたり、各種の規制対象となってしまいます。

 要するに、「暴力団・暴力団員と知りながら、これらの者から繰り返し頼まれ事をされてそれにしたがったり、親しい交際をしたり、仲間うちであるかのような態度をとり続けている場合」には、「暴力団関係者」と判断されてしまう可能性があるということです。

 なお、単に、親族などに暴力団員がいる、暴力団員と一緒に写真に写っている、また、暴力団員との結婚を前提に交際している場合などは、その事実だけをもって「暴力団関係者」と判断されることはない、とされています。

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