仕事ができる人は、なぜ上司から「やり直し!」と言われないのか結果を出す“下ごしらえ”(2/5 ページ)

» 2016年07月22日 08時00分 公開
[上阪徹ITmedia]

本当の顧客は誰か

仕事ができる人はターゲットを意識する(写真はイメージです)

 ある情報会社のトップセールスマンが取材でこんな話をしていた。取引先に何かを提出するときには、それが提案書であれ、企画書であれ、何らかのレターであれ、最終的に誰が読むのかを必ず確認していた、というのである。

 それは、窓口になっている担当者なのか。それとも、担当者の上司なのか。その上の担当役員なのか。もっと上の社長なのか。

 それこそ、若い担当者に出す提出物と、経営トップの社長に出す提出物と、果たして同じでいいかどうか。同じ文面でいいかどうか。

 担当者は、取引先である自分の会社のことは分かってくれている。だが、経営トップが分かっているとは限らない。だとすれば、経営トップがしっかり理解できるようなものにしておかないといけない。場合によっては、自分たちのことが端的に分かる、何か別の資料を添付したほうがいいかもしれない。

 逆に、自分の会社のことがよく分かっている担当者に、くどくどと自分の会社のことを書いていたら、なんだこれは、ということにもなりかねない。

 ターゲットを意識するだけで、こういうことができるようになっていく。実際、そのトップセールスマンは、書類を細かく作り分けていた。そうすることで、本当に読む相手に確実に届くものを作ることができていたのである。

 もう1つ、よく覚えているのは、あるコンピュータ製品の営業担当者へのインタビューだった。彼は若くして、ずば抜けたトップセールスとしての実績を誇っていた。特別なモノを売っているのではない。どこでも買えるOA機器の販売だ。では、いったい他のセールスと何が違うのか。その理由を取材でぜひ聞いてみたかった。

 印象的だったのは、「本当の顧客は誰か」という言葉だった。取引先のコンピュータ製品の営業窓口になっているのは、総務部門。だが、総務部門は実は本当の顧客ではない。つまり、本当のターゲットではない、と彼は語っていたのである。

 どういうことか。例えば、PCを販売する。確かに窓口は総務部門だが、販売したPCを使うのは、総務部門ではないのだ。取引先の会社の別の部門に所属する社員ユーザーたちなのである。

 彼にとっての「お客さま」は、確かに総務部門の担当者だが、本当の意味ではそうではない。実際にPCを使う、その会社の別の部門の社員ユーザーたちなのだ。

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