初心者にとって最も怖いのは誰か コンビニバイトの裏事情コンビニ探偵! 調査報告書(4/4 ページ)

» 2016年07月26日 08時00分 公開
[川乃もりやITmedia]
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新人が辞めてしまう一番の理由は「人間関係」

 なんでもこなすAさんのように、単に経験値の高いアルバイトがリーダー的存在になるのは問題ないが、その人が女性の場合は少し注意が必要だ(もちろん女性だから問題なのではない)。オーナー店長が特別扱いすると、何を勘違いしてか、お局様と化してしまうことがある。新人バイトにとっての最大の鬼門は、人生初の面接でもありがちなミスでもない。「お局様バイト」なのだ。

 お局様バイトの特徴は、店内における決定権を持っていること。オーナー店長から権限を委譲されていることがほとんどで、それ自体は悪いことではない。その場で決定できる従業員が多ければ、仕事の効率も上がる。ところが、これを「権力」と勘違いするバイトがいるのだ。

 中には、派閥を作りたがるお局様もいる。従業員の多い職場ならいくつかのグループができることでバランスが取れることもあるが、少人数制のコンビニバイトでは、お局様率いるグループに所属するかしないかの選択となる。

 派閥を作って自分が店(大奥)を掌握したいというならまだマシなほうだ。職場ではいばっていたい、でも責任は持ちたくない。ヒマさえあれば、愚痴や悪口をいつも言っている――という、わがままお局様には目も当てられない。

 ゴマすり系お局様というのもいる。ゴマすり系お局様は、オーナー店長にいい顔をするだけではない。自分の地位を高めるために、他のアルバイトを落としめる。誰もいないところで、オーナー店長の悪口を他のバイトやお客さんにまで吹聴するのだ。

 最悪なのは、このようなお局様の存在にオーナー店長が気付いていないというパターンだ。なぜ気付かないのかというと、お局様はオーナー店長にとっては文句のつけようがない素晴らしいバイトリーダーだからだ。絶大な信頼を寄せ、お局様の言っていることが正しいと思い込んでいる。というか、洗脳されてしまっているのだ。

 こういう厄介なお局様バイトには即座に辞めてもらったほうがいいのだが、オーナー店長がそれに気付いていないのだからどうしようもない。実は、新人が辞めてしまう一番の理由は、こうした「人間関係」なのだ。


 本来ならば、オーナー店長がフォローをしなくてはならないのだが、忙しさにかまけて新人のフォローをおろそかにしてしまうことも少なくない。

 右も左も分からない新人アルバイトがお局様バイトと2人きりのシフトを組まれてしまうと、初めてのレジ打ちや新しい仕事を覚えることより、お局様と対峙(たいじ)するプレッシャーのほうがはるかに大きくてとっとと辞めてしまうのだ。

 実際、コンビニはお局様バイトを生みやすい環境だと筆者は考えている。先にも述べたとおり、少人数制の労働環境なので、性格が合わない人とも否が応でも付き合わなくてはならないのだ。

 ブラックバイトと言うと、世間では給料未払いやサービス残業が大きく取り上げられているが、労働環境悪化の要因の1つに「お局様バイト」という影の存在があることを忘れてはならない。

著者プロフィール・川乃もりや:

 元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿


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