テクノロジーが変える、クルマのカタチ 自動車業界最前線

ライドシェアは過疎地で普及させるべきだ(2/4 ページ)

» 2016年07月27日 06時00分 公開
[森口将之ITmedia]

異論を唱えたタクシー業界

 これに異論を唱えたのがタクシー業界関係者だ。「ブラックキャブ」の愛称で知られるロンドンのタクシーの運転手も例外ではない。彼らは中心部の道や駅、公園などの施設を全て覚えなければならない難関試験をパスした真のプロフェッショナルである。一方、ライドシェアのドライバーは、乗客への対応は素晴らしい人もいるだろうが、運転技能や都市の知識は素人レベルでしかない。タクシー関係者が反感を抱くのは当然だ。

 日本でもUberの参入に対して反対の声が挙がっている。しかしその状況はロンドンとは異なる。反感ではなく排除になっているからだ。Uberの日本法人は、まず2015年に福岡市でライドシェアの実証実験を始めた。ところがすぐに、届出では無償とされていたドライバーに報酬を支払っていたことが発覚し、国土交通省からストップがかかった。

 タクシーやバスなどで旅客輸送を行う運転手は第2種運転免許が必要となるが、福岡では通常の第1種免許で報酬を得ていたようだ。いわゆる白タク(白ナンバーの自家用車での旅客輸送)行為にあたる。今年3月には東京にタクシー運転手たちが集まり、ライドシェアへの反対集会が行われた。

 しかし同社はあきらめない。5月に京都府京丹後市で、ドライバーは2種免許あるいは同等技能を所持し、運行区域を指定するなど、厳しい条件を課されながらも運行を始めた。こちらは今のところストップが掛からず、走り続けている。初乗り運賃は1.5キロメートルまで480円と、現地のタクシーの1.5キロメートルまで620円よりも安く、6キロメートルでほぼ半額になるという。

 なぜ日本ではライドシェアに対してストップをかけたり、厳しい条件を課したりする動きが続くのか――それは前述した今年3月の反対集会が象徴しているように、タクシー業界の抵抗が大きいといわれている。

photo ライドシェアへの反対集会

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