東京五輪に襲いかかる「ドーピング丸投げ裁定」のツケ赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2016年07月28日 07時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

五輪の商品価値が大きく下がるかも

 長い五輪の歴史を振り返ってみても、これほどドーピングショックに揺れ動いた大会はない。国家ぐるみのドーピング関与が発覚したロシアをこのまま玉虫色の処置で同国選手のリオ五輪参加を限定的に認めれば、そのしらけたムードは今後の大会にまで悪影響を及ぼす危険性も十分に出てくる。もちろん次回、2020年の東京五輪も対岸の火事ではない。日本オリンピック委員会(JOC)の関係者は次のように本音を打ち明け、眉をひそめる。

 「仮に今度のリオで出場が認められたロシアの選手たちが多くの競技で金メダルを手にすれば『ドーピングの力を借りて栄光をつかんだ』とうがった見方をする人も当然多数出てくる。つまり、いくら本当にクリーンであっても今回のリオについてはドーピング問題で揺れ動くロシアの選手が活躍すればするほど五輪のイメージは悪くなり、ひいては五輪の商品価値も大きく下がるのではないかと不安視する人も有識者の中にはいる。

 そうなると2020年の東京五輪もIOCや関連企業はスポンサーが集まりにくくなったり、契約料も大幅に値下げせざるを得なくなったりして広告集めに四苦八苦する最悪の流れになるかもしれない。いろいろな意味で経済にも影響が出るだろう。2020年の五輪景気をリオ五輪終了直後から長いスパンで見込んでいる日本政府としても、こうなったら間違いなく大きな痛手となる」

 IOCがロシアのリオ五輪参加を限定的に容認したことで、今回のドーピングスキャンダルからの出口は残念ながら先が見え辛くなってしまった。そして、もし「ドーピング」と「五輪」の切り離しが完ぺきにできず2020年を迎えれば、JOCや政府関係者、有識者らの誰もが成功を信じて疑わなかった東京五輪にダーティーなイメージが漂うことによって「失敗」の2文字もチラついてくる。

東京五輪にも悪影響が及ぶかもしれない(写真はイメージです)

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