あなた「らしさ」とは? このように聞かれてどう答えますか「売れる商品」の原動力(4/4 ページ)

» 2016年08月15日 05時30分 公開
[井尻雄久ITmedia]
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「POSCA」の魅力を再発見

 すると、どういうことが起きたか。社員自身が「この商品、意外と面白い」「こんな楽しい使い方ができた」と「POSCA」の魅力を再発見していったのです。こうなると、営業の人たちが得意先を回る時も、ものすごく自然に「これ意外といいんですよ」と伝えたくなります。自分たちが面白さを発見した使い方を提案する販促活動を進めていくと、かつてプリクラ世代だったママたちを中心に、反響が広がっていきました。

 私は、その直後に会社を退職したので、その後どうなったのか、詳しくは知りませんでした。先日、たまたま同社の方とお会いしたら「あれから、どうなったか知ってますか?」と笑顔でおっしゃるのです。商品そのものは変えていないのに、売れ行きが伸び続けているというではありませんか。

 それをうかがって、私は改めて「誇り」と「愛着」によって生み出される力を実感しました。よく“モチベーションが上がる”という言い方をしますが、それはハイテンションになるような一時的な感情のたかぶりでもなければ、「やる気」を出す出さないという話でもありません。具体的には「誇り」と「愛着」を強く持つということなのです。

 では、その「誇り」と「愛着」はどこから生まれるのか。上司から“誇りと愛着を持て!”と命令されて持てるものではありません。それはチームであれ商品であれ、そのものの「らしさ」「独自性」を発見することから生まれるのです。

 あえて言えば弱点や欠点さえも含めた、自分にとってのかけがえのなさ。所属するチーム、売ろうとする商品、暮らす地域。それが他とは違うかけがえのないものだと実感できた時に、人はおのずから、そこに最大限に貢献したいと強く願うのではないでしょうか。貢献できることそのものが、その人にとって幸福だからです。

(つづく)

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