女子マラソンで惨敗した福士加代子の発言は、本当に「KY」なのか赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2016年08月16日 10時15分 公開
[臼北信行ITmedia]

リオで金メダルだべ、うふふ

 何と言っても、その福士のキャラの濃さが際立ち、世に知れ渡ったのは一連のリオ五輪代表選考騒動のときだろう。今年1月、福士はリオ五輪代表選考会を兼ねた大阪国際女子マラソンで2時間22分17秒の自己最高記録をマークして圧勝。3年ぶり2度目の同大会優勝を飾り、日本陸連の設定記録(2時間22分30秒)を9年ぶりに切った。

 優勝インタビューでは得意の津軽弁パフォーマンスで「リオ決定だべえ!」と早とちりで叫んだものの、同年3月開催のリオ五輪代表・国内最終選考会を兼ねた名古屋ウィメンズマラソンがまだ残されていることを理由に日本陸上競技連盟(日本陸連)から代表内定の通知は“保留扱い”とされた。

 これに福士サイドは猛反発する形で一般枠で名古屋ウィメンズマラソンに出場し、改めて好タイムを記録して五輪代表の座を射止める強行出場プランをほのめかしたが、日本陸連や周囲から「コンディションにも影響を及ぼすので五輪でメダルを狙うならやめてほしい」と猛反対を受けた。

 すったもんだの末に「総合的判断」として福士は強行出場を回避し、名古屋ウィメンズマラソンで好記録が生まれなかったこともあってリオ五輪代表に選ばれたのである。

 今年3月18日の会見で福士は大勢のメディアの前で、こう言い放った。

 「マラソンは過去の先輩の功績があるので、チャンスだと思っている。覚悟を表明したのでどんな練習でもやるしかない。リオで金メダルだべ、うふふ」

 あえて五輪では今まで1度も立ったことのない表彰台を狙うことを宣言した。しかも口にしたのは、その頂点だ。自分を追い込むストイックなタイプであるがゆえに有言実行の強い気持ちが芽生え「金メダル」の言葉が飛び出した。十八番の“だべ”も、しっかりとつけて――。

 しかし、雪辱を期した今回のリオ五輪で彼女に勝利の女神は微笑まなかった。6月に右足の炎症を患うなど100%満足な調整ができなかったのも事実。それでも言い訳はしなかった。

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