異色のテクノロジー番組『徳井バズる』は若手2人の“社内副業”で生まれた 思いを形にするコツは?(3/3 ページ)

» 2016年08月19日 06時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]
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 ただし、条件はある。それは“本業”――つまり、『徳井バズる』以外の本来の業務、営業やアニメプロデューサーの仕事に支障をきたさないこと。時間はどうやって作っていたのだろう。

 「1日の仕事の時間が午前10時から午後6時までとして、ずっと仕事が埋まっているわけではない。空いているところに真田との相談やテック系の企業とのアポを入れ、集中的に打ち合わせた。あとは、プライベートでテック系の方が参加される夜の飲み会に参加したり、土日に遊びに行くイベントでも番組のセールスをしたり名刺を渡したりした」(亀井さん)

 それってむしろ、24時間が仕事なのでは……? と震えてしまうが、亀井さんは「やりたいからやっている。だからめっちゃ楽しい」と即答する。

 「『これが好きだ』『これがやりたい』と言い続けるのが大事。『こいつおかしいんちゃうか?』と思われても、情感を持って好きなものについて語れれば相手に伝わるし印象に残る。みんなに好かれることを目指すよりも、面白いなぁと関心を持ってもらったりシンパシーを感じてもらう。『そんなに言うんやったらやって見れば?』と返してもらえれば成功」(亀井さん)

センサー付きの抱き枕なども出てくる。「これが好きだ」という思いが伝わって通った企画だ

 営業の真田さんは、本業のクライアントとのアポの合間をぬって『徳井バズる』に打ち込んだ。「言ってしまえば気合」と苦笑しつつ、「隙間時間を全力で使い、意識的に時間を作っていくイメージ」と語る。

 「ちょうど普段の仕事がうまく回り始めたタイミングだったのもよかった。“本業”がうまくいっていなければ、“副業”は良い目で見られない。『新しいことをやりたい』という気持ちに直属の上司が賛同してくれて、味方が増えていった。最終的には、腹をくくって背負えるかどうか」(真田さん)

 真田さんは7月から人事部に異動し、大阪勤務となるが、そちらでも引き続き『徳井バズる』に関わっていく。

 営業ノルマや面白さについて「できるか?」と聞かれたら、「絶対やります!」と言い切る。そのときに「できないかもしれないけど……」と返していたら、任せてもらえない――。時間調節と日ごろの行動、熱意をアピールすることが、社内副業に必須なポイントだ。そしてそのスキルは、新規プロジェクトや重要な案件の立ち上げにおいても重要なのかもしれない。

 『徳井バズる』は全3回の予定。8月26日の深夜1時25分から放送する第2回はVR(バーチャルリアリティー)や3Dプリンタを中心に取り上げる。3Dプリンタでは、「9人の女性を集めて、徳井さんと小沢さんに理想の太ももとヒップを選んでもらう。その人をハンド型のスキャナーでスキャンして、3Dプリンタで出力する」という企画を予定している。もちろん、伝えたいことは”3Dプリンタによる革新”という真面目なテーマだ。

“理想の太ももとヒップ”を選んでもらってスキャン、3Dプリンタで出力する――というハチャメチャな企画

 「テクノロジーを取り上げた番組はMBSでも初めての挑戦だったので、トライアルな部分が多くなると想定していた。『1回1時間の特番でいいのでは?』という声を抑えて全3回で立ち上げたのは、トライ&エラーを繰り返し、番組の方向を捉えたかったから」(真田さん)

 初回の視聴率は3.4%。深夜時間帯放送を考えると“まずまずの数字”とも、もっと上を目指せる数字ともいえる。2人が目指すのはレギュラー番組化だ。

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