まだ「内定ゼロ」学生の親が、今できる就活支援15%の学生は就活継続中(2/3 ページ)

» 2016年08月22日 07時20分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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親の関与

 極論ですが、私は基本的に親ができることはお金を出すことだけだと思っています。就活にはお金がかかります。まずセミナーや面接などで移動する交通費、特に一人暮らしをしている地方大生は、東京など大都市に頻繁に出掛ける可能性が高く、深夜バスなど使ってできるだけ費用を浮かせるにしても、他にもクリーニングや身の回りの整備など、正にいくらお金があっても足りない状況でしょう。

 そうかといって湯水のごとく与えられる親ばかりではないと思いますが、深夜バスなら片道5000円で東京-大阪間を移動できます。5000円1万円という単位で臨時のお小遣いをあげれば、そのありがたみは特にしみる時期なのではないでしょうか?

 お金ではなく、直接会社選びや就活指導に乗り出す親もいます。ESを子供に代わって代筆したり、面接練習をするという人もいます。しかしこうした直接の関与は基本的に子供の就活を失敗させるリスクが高いのでお勧めしません。特に絶対に避けてほしいのは「素人の関与」です。現役の人事課長だとか、現在の採用システムに精通している親であれば良いのですが、恐ろしいのは現在ではなく昔の就活しか知らない素人の親です。

バブルは遠いかなた

 最悪なのは入社が楽だったバブル期に、しかも人事の経験もなく会社員生活を送った親で、さらにビジネス現場を離れて20年など、ビジネスには素人の学生以下の知識しかない親です。正に混乱をもたらす邪魔以外の何者でもありません。採用市場も採用基準も、何より企業の経営環境が全く異なる現在の就活環境に、昔の知識と経験は無用の長物でしかないのです。

 学生はそもそも社会を知りません。そこに学生から見れば社会を知っている「ように」一見、見える親の口出しは大きな影響を与えるでしょう。仮に子供のESを代筆して、非常に完成度の高いものが提出できたとしましょう。実際にES代筆を請け負うサービスもあると聞いたことがありますが、全くもって無意味です。

 ESの出来が良ければ、面接につながる可能性は確かにあります。しかし就活はESの試験ではありません。ESに基づいて面接し、もしそこに出来の良いESに対し、あまりにもギャップのある面接だったらどうなるでしょう?当然パクリや代筆が疑われ、面接を突破することはまずありません。結局親の介入で途中まで進むことが仮にできても、成果につながらない以上は単に時間を浪費するだけに終わります。今、困っている学生に浪費する時間などありません。

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