やっぱり「ふんどし女子が増えている」はステマなのかスピン経済の歩き方(4/5 ページ)

» 2016年08月30日 07時34分 公開
[窪田順生ITmedia]

「女性用ふんどし」の歴史を振り返る

 日経消費マイニングによれば、「買い物にマイバッグを持っていく」と答えた女性は2005年には36.6%だったが、2008年になると63.8%と大きく増加しており、中でもガラッと意識が変わったのが、高樹沙耶さんと同世代である40代女性。05年にはわずか22.2%だったのが、08年には63%と3倍近い伸びをみせているのだ。

 こういう女性たちの一部が、千葉・南房総でエコな生活を実践する44歳の美人女優が愛用する「エコな下着」に注目をしたとしてもおかしくはない。

 『メレンゲ』後もバラエティ番組などで取り上げられた高樹さんの「ふんどしカミングアウト」は市場の活性化にもつながった。08年12月にはワコールの子会社「ウンナナクール」でも「ななふん」という女性用ふんどしの発売を開始するのだ。

 もちろん、同社では「高樹さんのふんどし発言にのっかりました」などということは言っておらず、あくまで締め付けのないブラジャーの開発中、セットとなるショーツをどうすべきか悩んでいるとき、「ふんどし」が思い浮かんだ、としているのだが、タイミング的にもまったくの無関係とは言えないだろう。

 このように「女性用ふんどし」の歴史を振り返ると、10年近い歳月をかけながら地道に愛用者を広げてきたことが分かる。そういう「土壌」ができたところに、各メーカーの好調さや、「ふんどし協会」のユニークなイベントが積み上がって、メディアの「ふんどし女子推し」につながった可能性が高いのだ。

 ただ、その一方で個人的には「ふんどしステマ」を仕掛ける勢力がいたとしても不思議ではないとも思う。

 実は国内女性下着市場は人口減もあって縮小傾向にある。ワコールも苦戦が続き、08年に客層を広げるために買収したピーチ・ジョンも一時期、大きく落ち込んだ。現在は回復基調にあるが、かつてほどの勢いを取り戻せない。

 市場が縮小していく中で、企業が成長を続けていくには、ユニクロの「ブラトップ」のように新たなカテゴリーを生み出すこととされる。いわゆる、「カテゴリー・イノベーション」だ。消費者に対して、これまでの常識にはないないような新しい価値観、スタイルを提案していくのだ。

 いまではイロモノ扱いされる「女性用ふんどし」もそのひとつになりえる。

 「それはないわー」と笑う女性も多いかもしれないが、実は「ふんどし女子」と歩調を合わせるように、近年になって注目されている概念がある。

 「ノーパン睡眠」だ。

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