そういう時代を背景に、マツダは、新車効果を狙ってマイナーチェンジすることを止めると言うのだ。マイナーチェンジは目先のイメージ刷新と、意味のある改良がボーダレスに混じり合い、目的が不明瞭だった。「そういうのはメーカーの商売の都合であってお客さま中心ではないから」とマツダははっきり言った。これからは本当に意味のある、あるいは必要なアップデートを順次施し、ついては、概念が違うからマイナーチェンジとは言わず「商品改良」と呼ぶことにした。
コンピューターの場合もちょうど同じことが起きていて、マイクロソフトはOS「Windows10」を最後のメジャーアップデートだとアナウンスして、以後は必要なセキュリティと機能のアップデートを順次施していくことになるのだと言う。もう新しくなったから買い換えてくれという訴求をしないということである。
さて、では商品改良とは具体的には何が行われるのだろうか? 現在のマツダ第6世代商品群は、マツダが長い時間をかけて構築してきたSKYACTIV技術が一通り全方位に採用された最初の世代だ。マツダの商品改良とは、そのSKYACTIV本体が機能的にアップデートされていくことである。原則としてSKYACTIVのアップデートが、然るべきタイミングで製品である個別のクルマに反映されていくということになる。
さて、そのアップデート版のSKYACTIVが6.1なのか6.2なのか、その数え方は良く分からないけれど、ここしばらくで改善された要点は以下の通りだ。
1.運転環境の最適化
まずはシートを基準にペダル配置とステアリングという主要操作系の位置を最適化した。同時にメーターやナビ、インパネのスイッチなどの視認性を論理的にゾーニングし、機能優先に基づいて、デザインの押し出しすぎを改めた。細かいところだが、表示文字のフォントが統一されたこともこの視認性向上の一環である。
2.リニアリティの向上
エンジンやトランスミッションなどのパワートレイン系全体について低速域中心にリニアリティを向上させた。これは出力特性だけでなく、音質の特性についても留意され、仮にタコメーターがなくてもエンジンの運転状態が耳で分かるような音作りを意図的に行っている。
3.予防安全能力の向上
マツダが「マツダ・プロアクティブ・セーフティ」と呼ぶ安全支援機能の向上。いわゆるぶつからないブレーキや死角モニタリング、ヘッドアップディスプレイのカラー化やアダプティブヘッドランプなどの採用だ。
これらは、第6世代の全モデルに順次装備されていくはずである。
さて、今回アクセラの商品改良のポイントは、1.5リッター。ディーゼルユニットの搭載だろう。アクセラXDのデビュー当時、まだマツダの手持ちのディーゼル・ユニットは2.2リッターしかなかった。アクセラにはオーバーサイズであることを承知で2.2を搭載してデビューしたが、デミオの発売と共に出た1.5リッターユニットが選べるようになり、よりサイズに適したディーゼルユニットを手に入れた。
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