『沿線格差』の著者に聞く、10年後に注目されそうな沿線・駅はココだ水曜インタビュー劇場(鉄道公演)(3/7 ページ)

» 2016年09月14日 07時53分 公開
[土肥義則ITmedia]

駅には「拠点力」がある

小川: コンパクトな街づくりを目指している富山市で次世代型路面電車のLRTが走行していて、各方面から注目されています。その後、宇都宮市などLRT導入を進めている都市は全国にいくつもあるんですよね。東京でも池袋でLRTを走らせようという計画があります。

 また、欧州でもトラムと呼ばれている路面電車がたくさん走行しているんですよね。街の中にクルマをなるべく入れないようにするために、路面電車を街づくりの基本コンセプトに掲げているところがたくさんあります。

富山市を走行する富山ライトレール(出典:富山ライトレール)

土肥: 路面電車って道路に線路をつくって、クルマのような感じで走らせる。じゃあ、バスでいいのではないでしょうか。今後は自動運転が導入されていくと思うので、自動運転のバスが都電荒川線のような役割を担っていくのではないでしょうか。

小川: ご指摘のとおり、「人が移動するだけ」であれば、路面電車もバスも同じかもしれません。東日本大震災によって被害を受けた沿線を取材していると「鉄道を再開するのではなく、バスでいいのでは?」といった声があります。でも、駅には「拠点力」があるんですよね。

土肥: 拠点力? それはなんですか?

小川: 人を集めるだけでなく、商業施設、コンテンツ、サービスなどさまざまなものを集めることができるチカラのことです。例えば、震災の影響を受けて、現在使われていない駅があります。鉄道も走っていませんし、駅員もいませんし、利用者もいません。そんな状況なのですが、駅前のロータリーでタクシーが停車しているんですよね。

土肥: ほー。

クルマの横を走行する都電荒川線

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